Mobile:NEWS 2003年8月5日 00:15 AM 更新

flash-OFDMとはなにか


 近年OFDM技術を使った無線通信方式が多数登場している。マルチパスに強く周波数利用効率が高いOFDMは、IEEE802.11aやETC、デジタル地上波放送などで採用されている。さらにNTTドコモが第4世代携帯電話の通信方式として、CDMAとOFDMを組み合わせたOFCDMAを提案するなど(2002年3月の記事参照)、次世代の通信方式として脚光を浴びている。

 ただし携帯電話で使うセルラー環境では、隣接するセルで同一周波数を利用する仕組みが必要だ。flash-OFDMはFlarionが開発した、そのための手法である。

 flash-OFDMでは1.25MHzの周波数幅に113本のサブキャリア(FlarionではToneと呼ぶ)を配置し、それぞれの周波数を直交させる。ここまでは通常のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)の手法である。

 異なるのは、利用するサブキャリアを「秒間100万回」(Flarion)という高速度で変化させることだ。これは、Bluetoothなどでも使われている周波数ホッピング(Frequency Hopping、用語)という多重化の手法に当たる。これによって隣接セルでも同一周波数を利用できるほか、周波数効率を上げている。

 Flarionでは、この高速なホッピングを指して「速い動きを表すイメージ」としてflash(閃光)という名前を使っているという。


A、B、C、D、EのそれぞれがOFDMのサブキャリアを示す。flash-OFDMでは、通信時に使うキャリアを高速に変えることで多重化を行う(図:米FrarionのWebより)

OFDMとは何か

 OFDMは複数のサブキャリア(搬送波)を利用することで、高い周波数効率とマルチパス耐性を備える。

 一般にデータ通信の速度を上げるには、シンボルレート(変調速度)を上げるか、変調方式(PSKとかQAMなどというもの)を変えて1回の変調に乗せるデータを増やす。シンボルレートを上げると必要な周波数帯域が増え、その一定量のデータを送信するのにかかる時間(有効シンボル長)は短くなる。また変調方式を変えるとエラーが増す。

 シンボルレートを上げると、問題になってくるのがマルチパスだ。GHz帯など周波数が高い電波は直進性が高く、一部の信号が壁などに反射して遅れて届く(遅延波)ことが多く、信号が混ざり合うマルチパスと呼ばれる現象を引き起こす(用語)。有効シンボル長が長ければ、マルチパスを分離しやすいが、有効シンボル長が短くなるにつれ、マルチパスと別のデータとの区別がつきにくくなる。短時間で信号の伝送が終わるため、信号の形がマルチパスによって崩れやすいのだ。

 変調方式やシンボルレートを変えずに伝送速度を上げるもうひとつの方法は、複数のサブキャリアを使うことだ。OFDMの中の“FDM”はFrequency Division Multiplex(周波数多重)とあるように、周波数を分けて複数のキャリアを並べて使うことを指す。

 複数のサブキャリアに分けてデータを伝送することで、シンボルレートを抑えられ、速度を上げつつシンボル長を長く保つことができる。

 問題は、周波数の利用効率が落ちることだ。複数のキャリアを並べると隣のキャリアと干渉しないよう、隙間を空けなくてはならないからだ。これを解決するのが“O”に当たるOrthogonal(直交)だ。直交するキャリア波を交互に並べて使うことで、干渉をなくし、より高密度にサブキャリアを並べることができる。直交はsin波とcos波の関係を考えるといい。



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[斎藤健二, ITmedia]



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