Mobile:NEWS 2003年8月7日 11:58 PM 更新

取扱説明書もダウンロード〜情報開示進むケータイ

多機能化が進む流れの中で、「1/6型CCD」といったカメラの詳細なスペックが公開されたり、操作マニュアルがWebからダウンロードできるようになってきた。しかし、行き着く先はパーツごとのブランド化かもしれない。

 カメラ、音楽プレーヤー、ゲーム機……。携帯電話にさまざまな製品のさまざまな機能が取り込まれていく中で、課題になっていたのが情報の公開だ。

 例えば、デジタルカメラの新機種であれば、受光素子のサイズ、絞り値、シャッター速度などのスペックが表示されるのが当たり前。しかし、メガピクセルまでスペックが上がった携帯電話では、“画素数”が書いてある程度。商品の情報としては、あまりにお粗末だった。

 携帯電話の操作性もそのひとつだ。カメラや液晶の性能と同様に、ユーザーは「操作性のよしあし」、言い換えれば「こんな設定ができるかどうか」「必要な操作が簡単にできるかどうか」を気にしているのに、実際に買ってみるまでは“どんな操作体系なのか”は分からなかった。このことが「次も同じメーカーの端末を選ぶ」ユーザーが多い理由のひとつだと考えてもいいだろう。

次第に公開される各種スペック、操作性

 最近になって、携帯キャリアもこうした情報の公開に積極的になってきている。

 例えばドコモは『総合カタログ8月号』(関東甲信越版)で、「カメラ機能一覧」というというページを設けた。ここには、画素数はもちろん、撮像素子サイズ、静止画/動画の記録サイズ、動画のファイル形式、動画のフレームレート、画像を仕分けできるフォルダ数などのスペックがこと細かに説明されている。


 特に動画ファイル形式などは、再生時の互換性に直結してくるだけに、これまで比較できる形式で載っていなかったほうが不思議なくらいだ。

 ともあれ、機種によってはCCDなのかCMOSなのかも非公開にしているキャリアもある中で、撮像素子サイズまで公開したのはさすがはドコモ。ユーザーが端末を選ぶ際に、カメラ性能や機能が重視されることが多くなっているだけに、評価できる。

WebページでマニュアルのPDFを公開

 KDDIの取り組みも、たいへん面白い。「A1301S」以降の新機種に限られるが、Web上でPDF形式のマニュアルを公開しているのだ。


 携帯電話のマニュアルといえば、非常に厚く“読みたくないモノ”の代表のように感じられるが、なければ困るのも事実。自宅を探し回らなくてもいざというときに閲覧できるのはありがたい。

 また、新機種の機能や操作性について、購入前にチェックできるという点も見逃せない。マニュアルだけに、読むのはたいへんだが、「メール振り分け機能はどんな設定が可能だろうか」「ショートカット機能はどんな内容になっているのか」「撮影した写真はどのように編集できるのか」といった、細かいがユーザーにとっては決定的なポイントをチェックできる。

 マニュアルのダウンロードは、携帯電話以外でも珍しい。ソニーは家電製品のマニュアルをダウンロード可能にしているし、PC周辺機器でも対応している例はあるが、意外な製品のマニュアルをなくしてしまって困った人も多いのではないだろうか。

PCに近づく“ケータイ”

 各社がこうした情報公開を進めていることは、裏を返せばそれだけ提供しなくてはならない情報が増えてしまっていることを意味している。今後の方向としては、単一の製品として完結していた携帯電話が、そろそろPCのようにモジュール化されていくという予想もできるだろう。

 簡単に言うとこうだ。これまで携帯は、独自ハードウェア+独自OS+独自カメラ+独自ソフトの組み合わせで製品になっていた。説明するほうも調べるほうも、何から何まですべてが独特で、やっかいなことこの上ない。

 ではPCの世界は……というと、IntelのCPUにATIのビデオチップを使ったASUSのマザーボードが搭載されていて、OSはMicrosoftのWindows。ソフトはジャストシステムのATOKとInternet Explorerが載っています──という感じだ。今WindowsのPCを使っているユーザーは、買い換えるときに「操作性が変わってしまうのではないか」と考えることはあまりないだろう。

 携帯の世界も、次第にPCのようにモジュールごとにメーカーがブランドを主張していく時代になっていってもおかしくない。時代の流れとしても、携帯開発が複雑化するなかで、“すべて自社開発”ではなく、モジュールを組み合わせて作ることが増えてきている。既に、個別のパーツやソフトウェアでありながら、ブランド名を前面に押し出しているところもけっこうある。

 例えば、アプリケーションプロセッサで言えば、ルネサステクノロジーの「SH-Mobile」。漢字変換で言えばオムロンソフトウェアの「Wnn」やジャストシステムの「ATOK」。カメラも富士フイルムの「スーパーCCDハニカム」はブランド名が表示されているし、液晶ではセイコーエプソンの「CrystalFine」の名前が通っている。

 各パーツの名称や機能が一般に浸透すれば、説明するほうも自分の詳しい部分に特化すれば済むし、調べるほうもある程度性能の予想がつく。

 デスクトップPCで、Windows XPの機能について日本IBMに問い合わせをするユーザーはいない。あるレベル以上の情報がほしければマイクロソフトに聞くものだ。

 携帯の情報も、将来は「カメラには三洋電機のHyperEyeを使っています。性能については三洋電機にお問い合わせください」なんて記述されるようになるのかもしれない。

関連リンク
▼ au 取扱い説明書ダウンロード

[斎藤健二, ITmedia]

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