衛星電話【えいせいでんわ】衛星電話は、通信衛星を利用した電話、およびサービスの総称。端末自体の持ち運びが可能なものを、衛星携帯電話と呼ぶこともある。基地局に通信衛星を利用することで、一般の携帯電話では電波の届かない砂漠や海上、山頂などの場所でも通話を可能にする。 通信衛星には静止衛星と周回衛星の2つのタイプがある。静止衛星は、赤道上空3万6000キロメートルを地球の自転速度と同じ速度で回り続けている人工衛星のことだ。地上から衛星を見ると、まるでそれが静止しているかのように見えるため静止衛星と呼ばれる。
静止衛星を利用したサービスには、世界初の衛星電話となったインマルサットや、現在NTTドコモが提供している「WideStar」(ワイドスター)などが挙げられる。地上と衛星の間の無線通信を行う距離が長いため、電話機につながるアンテナもかなり大きめである。 ワイドスターはドコモが打ち上げた衛星N-STARを使った衛星携帯・自動車電話サービスとして、1996年3月にサービスが開始された。通常の携帯電話と同様、音声による通話に加え、FAX通信やデータ通信(4800bps)も利用できる。現在は船舶向けのサービスとして衛星船舶電話も登場しており、そのエリアは日本の陸地、および陸地から200海里(370キロメートル)の海域となっている。
一方、周回衛星を利用したサービスには、Iridium Satelliteの「Iridium」(イリジウム)などがある。周回衛星は、衛星そのものは静止しているが、地球の自転によってあたかも1日1周期で周回しているように見える。イリジウムでは、地球上空約780キロメートルという低い軌道上に、66個の通信衛星を周回させて、地球上のあらゆる地域をカバーすることが可能になる。 通信距離の短い周回衛星を用いることで、通信衛星が小型化でき、一基あたりの打ち上げにかかるコストが削減できる。また伝播損失が抑えられ遅延もなく、電話機自体も小型化できるなど、そのメリットは大きい。ただし、通信衛星を数十機打ち上げないとサービスは開始できない。そのためイニシャルコストがかかりすぎ、多くの事業会社がビジネスモデルを確立できず、失敗に終わっている。 イリジウムは、それぞれの衛星が通話をリレーすることで、地上のネットワークに依存することなく、世界中どこでも使えるというのが売りでもある。過去に日本でもサービスが提供されていた。だが、イリジウムは開業早々に経営破たんを起こし、2000年3月にサービスを終了している。 2001年4月に再開された現在のイリジウムはまったく別の会社が事業を引き継いだもので、事業会社の存在しない日本は(電波は届いているが)サービスエリアに含まれていない。仮に日本でイリジウム端末を利用すると、電波法に違反することになる。
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