Mobile:NEWS 2003年9月10日 10:34 PM 更新

GPRSからEDGEへのアップグレードパス〜Intel、PXA800EF

GPRSに対応した「PXA800F」に続き、3Gネットワーク規格であるEDGEに対応した統合型チップ「PXA800EF」をリリース。シリコン部は変えず、ソフトアップグレードだけでEDGEネットワークに対応した。

 米Intelは、EDGEに対応したハイエンド携帯電話向けのプロセッサ「PXA800EF」を発表した(9月10日の記事参照)。312MHzのXScaleコアのほか156MHzのDSP、4Mバイトのフラッシュメモリを1チップに集積しており、EDGE対応の携帯電話開発を容易にする。

 EDGE(Enhanced Data Rate for GSM)は、GSMのパケット送受信技術GPRSの後継となる第3世代通信方式(3G)のひとつ(用語)。最大384Kbpsの通信が可能となっている。

PXA800Fからソフトウェアのみ変更

 PXA800EFは、GSM/GPRS対応の統合チップ「PXA800F」(コードネームManitoba)の進化形だ。PXA800Fとピン互換があり、端末メーカーはGPRSからEDGEへ容易にアップグレードを図ることができる。

 そもそも「PXA800EFはPXA800Fからソフトをアップグレードしたもので、シリコン部分は変更ない」とIntelのPCAコンポーネンツグループ プロダクトマーケティングマネージャのトレント・バートゥ氏は説明する。実際、ハードウェアとして異なる部分はベースバンド処理を行うDSP「Micro Signal Archtecture」(MSA)のクロックスピードを104MHzから156MHzに向上させたに留まる。


 これにより「(PXA800Fの)設計の再利用が可能となり、PXA800Fの開発キットを使って開発できる」。また、通信処理のソフトウェアをチップ内のフラッシュメモリに統合しているため、「通信オペレータがコードを最適化したときなど、パッチを出すときに、通信ソフトのコードを(ネットワークから)プッシュして渡すことができる」というメリットもある。


MotorolaのLinux携帯「A760」は、メモリをアプリケーションプロセッサに「PXA262」を搭載。「独自で開発するよりもずっと短い期間で開発ができた」と言う

まずはEDGE。いずれはW-CDMAも

 世界の市場規模を見て、まずはGSM向けの統合チップを手がけたIntel。当初からGSM/GPRSの発展形であるEDGEへのアップグレードは考慮していたと、ワイヤレス・コミュニケーション&コンピューティンググループのロナルド・J・スミス上級副社長は話す。

 「興味を持つオペレータがいなければ我々はこの製品を作らなかった。興味を持つオペレータは複数いるし、EDGEの市場はある」


 同氏によると、EDGEのインフラを購入したというケースがフィリピン、マレーシア、ブラジル、米国、ヨーロッパであったようだ。「例えば米国の大手GSMオペレータの1社はEDGEに移行するし、欧州でも同じようなオペレータが1社ある。選択的ではあるがEDGEの実装が進みつつある」

 EDGEへの対応後は、W-CDMAをにらむ。「W-CDMAについては別途ロジック、チップが必要になってくる。(統合型のPXAシリーズをW-CDMAに対応させるための)作業はやっている。W-CDMAは全く新しい技術であり周波数帯も異なっているため、アップグレードはより複雑になるものと思う」



関連記事
▼ Intel、携帯電話用の新チップ「PXA800EF」発表
PXA800EFには最大312MHzのXScaleプロセッサと4Mバイトのフラッシュメモリ、156MHzのDSPが含まれる。2004年後半に携帯電話メーカー向けに出荷開始され、大量出荷時の価格は1個当たり29.15ドル。

▼ Intel、携帯向け統合型XScaleプロセッサ「PXA800F」を発表
初の“Wireless Internet on a chip”こと、「Manitoba」が正式発表された。「PXA800F」と名付けられたこのチップは、XScaleコア、MSAコア、フラッシュメモリ、SRAMを1チップに混載。普及価格帯の携帯電話への搭載を狙う

▼ Intelの携帯向け統合チップ“Manitoba”が狙うもの
Intelは年内にもXScale、MSAのベースバンド、メモリを統合した“Wireless Internet on a chip”──Manitobaをサンプル出荷する。Manitobaの狙い、そして日本市場に対する戦略を、Intelに聞いた

▼ 携帯に向けて低消費電力化を図る“Manitoba”
アナログ、ロジック、フラッシュを統合した携帯電話向けチップが、来年Intelから登場する。コードネーム“Manitoba”、ことWireless Internet on a Chipは、Pentium4などとは異なるデザインルールを用い、低消費電力を追求した

▼ インテル、XScaleベースの携帯端末向け統合チップを生産へ
インテルは、携帯電話やワイヤレス通信機能付きPDAに使用される主要コンポーネントを1つの半導体チップに混載する、新しいプロセス技術を発表した。


関連リンク
▼ インテル

[斎藤健二, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!