Mobile:NEWS 2003年10月3日 03:51 PM 更新

シャープ、超広視野角モバイル向け液晶を開発

モバイル向けの半透過型液晶に、液晶テレビで使われている超広視野角技術を組み合わせた「モバイルASV液晶」を、シャープが開発した。

 シャープは10月3日、モバイル機器向けに超広視野角(上下左右160度)の液晶モジュールを開発したと発表した。デジタルカメラや携帯電話、PDA、カーナビなどに向けて1.5/2.4/4/6.5インチのパネルを開発する。12月からサンプル出荷を始め、来春から量産を開始する。


左がアドバンストTFT液晶搭載の携帯電話「J-SH53」、右が新開発のモバイルASV液晶技術を使った液晶。視野角が大きく異なるのが分かる

 「モバイルASV液晶」と名付けられたこの技術は、液晶テレビ「AQUOS」に搭載されている「ASV技術(Advanced Super View)」と、携帯電話などに使われている半透過型液晶「アドバンストTFT技術」を組み合わせたもの。


モバイルASV液晶の特徴は、1)屋外屋内でもよく見える 2)上下左右160度の広視野角 3)300対1以上の高コントラスト 4)25ミリ秒という高速応答

 20%程度、透過率が落ち、多少のコストアップとなるが、「モバイル機器向けのコンテンツがテレビやビデオ撮影など映像のほうに向いてきた」(シャープモバイル液晶本部長の片山幹雄氏)ことから、開発を決めた。CGシリコン液晶だけでなく、アモルファスシリコンTFTなど各種液晶のほか、3D表示技術などとも組み合わせることが可能。同社のモバイル向け液晶工場すべてで生産を行い、モバイル向け液晶のすべてを切り替えていく方針だ。

 ASV液晶は、通常同じ方向に向く液晶分子を「花火」のように全方向に配光させることで、どの方向から見ても見え方が同じになる技術(シャープの技術解説参照)。ただし同社の半透過型液晶「アドバンストTFT」とは、反射電極と透過電極が並んでいて構造が複雑なため、これまで組み合わせることが難しかった。

 ASV技術は、単に視野角が広いというだけでなく、コントラストや色味の向上にも貢献する。片山氏によると、従来携帯電話用のコントラストは100対1以下(透過モード時)だったが、モバイルASV液晶では300対1以上出るという。

 また、従来の液晶は最適な表示が行える角度が非常に狭いため、例えば右目と左目程度の角度の差があっても色味がずれたりコントラストが落ちたりしていたという。視野角の広いモバイルASV液晶では「測定器で測ったデータ以上に、高コントラスト、色の濃さを感じる」(片山氏)という。

 他社の広視野角を実現する技術に比べて、ASV技術は300ppi超など高精細化に向いており、大型パネルに比べて高精細化の要求の強いモバイル液晶と相性がいいという。



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▼ シャープ

[斎藤健二, ITmedia]

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