auの冬モデルの違いを知る〜CPUからCCDまで特徴があまりに多いため、全貌を把握しにくい、今回のau冬モデル。CPUの違い、カメラ、音源チップなどから、各機種の違いを探っていく。
いずれも魅力的な機能を備えるauの冬モデル6機種(10月6日の記事参照)。“選ぶのに迷う”とは、こういったシリーズのことを言う。ここでは、6機種の共通点・差違点を明確にして、どんなユーザーがどの機種を選ぶべきかを考えていきたい。
6機種は、大きくA5500シリーズとA5400シリーズに分かれる。東芝製、京セラ製、三洋電機製がA5500、カシオ製、ソニー・エリクソン製がA5400だ。簡単にいえば、A5500がEZナビウォーク対応、A5400が非対応となる。 INFOBARは少々位置づけが異なり、型番でいえばA5300シリーズとなる A5500シリーズは、次のような共通仕様を持つ。
BREW2.1は、従来の2.0にMS-Based GPS対応API(KDDI独自拡張)や、カメラ操作、データフォルダ操作、2D/3D機能などを付け加えたもので、導入は世界初となる。 このBREWアプリケーションを高速に動作させるのが、Qualcommの新チップ「MSM6100」だ(7月16日の記事参照)。CDMA通信のコアとも呼べるMSMチップは、携帯のCPUとしても動作する。 CPUコアには従来のARM7コアに代わりARM9コアを採用。クロックも最大150MHzと、PDC(ドコモやボーダフォンの2G端末)に比べても遜色ない性能を持つ。その上で、Javaよりも高速なBREWアプリを動作させる。 auプロダクト統括部長の牧俊夫氏は「新ラインアップは新しいQualcommのチップを搭載した機種を揃えている。さらに(A5403CAでは、SH-Mobile Vなど)アプリケーションチップを入れて、さらに新ブラウザでキャッシュ速度の遅さなどを払拭している」と話している。 A5403CAのSH-Mobile Vは、SH-Mobileシリーズの中でもハイエンドのチップ。製造プロセスが0.18μmから0.15μmに微細化されている(2002年6月の記事参照) MS-BasedのGPSは「gpsOne」の最新機能(2002年8月の記事参照)。最初の1回のみサーバと通信を行い、その後は単独でGPS測位を可能とする。特にMSM6100専用の機能ではなく、MSM6050を採用した「A5403CA」もMS-Based対応となっている。
カメラ性能は各端末で大きくばらけた。画像をメールで送信できる最大サイズである100Kバイトまで圧縮する「メールモード」を備え、SXGA(960×1280ピクセル)サイズまでの画像はメール送信可能になっている。
並べてみると、au端末も基本的にはメガピクセル+外部メモリカードという構成になったことが分かる。QVGA液晶と合わせて、ハイエンド端末の“三種の神器”となる(2月14日の記事参照)。 メインの液晶は、標準が2.2インチに移行した。INFOBARはストレートタイプだけあって2インチと少々小さく、A5404Sは2.3インチと少々大きい。A5502Kは、2.4インチと携帯最大級。このサイズの液晶は、「N505i」「SH505i」「J-SH53」「J-SH010」など、搭載機がごく一部に限られる 注目すべき点は、A5502KのキセノンフラッシュとA5403CAのオートフォーカスだ。キセノンフラッシュは、デジカメなどにも搭載されている、いわゆる“フラッシュ”。さらに、動画撮影用にLEDを使ったライトも備えている。フラッシュは、J-フォン向け東芝端末が外付けで用意したことはあるが(2001年8月の記事参照)、内蔵する端末は初めてだ。 オートフォーカスは携帯向けとしては世界初となるだろう。内部に超小型のステッピングモーターを備え、コントラスト検出方式(高級デジカメを除く、一般的なAF方式)によってピントを合わせる。シャッター押下と共に動作するほか、プレビュー時にAFを作動させてフォーカスロックさせたり、AFを切ってパンフォーカスで利用することもできる。 面白いのは、マクロモードへの切り替えも、従来機のような手動スイッチではなく、メニューから選択して行えることだ。マクロ時はAFの作動範囲がマクロ側に変わり、書類なども鮮明に撮影できる。 センサーでは、A5502Kのカメラ部に「F.I.T」と記載されているのが気になる。CCDセンサーには、大きくFT方式、IT方式、FIT方式の3種類があり、前者ほど構造がシンプルで、後者ほどスミア(CCD特有の縦に線が入る現象)に強いという特徴を持つ。
カシオのA5403CAは、200万画素の1/2.7型プログレッシブCCDを搭載する。メガピクセル端末である前機種「A5401CA」も1/2.7型だったから(6月3日の記事参照)、サイズはそのままに画素を倍増した。レンズには非球面ガラスを使用した
地味なところで、着メロの音源チップも進化した。A5400シリーズの2機種、A5403CAとA5404S、および京セラ製の「A5502K」は、FM音源64和音のヤマハ製チップ「MA5」を搭載する。 16和音移行、一部の例外を除いてau端末はヤマハ製のFM音源チップを搭載している。4和音のMA-1、16和音のMA-2、40和音のMA-3(2002年6月の記事参照)と進化(ヤマハの機種別対応表参照)してきたが、ついに64和音のMA-5が登場した。 MA-5は、FM音源32和音+PCM音源32和音。MA-3と比較して、PCM部分が大きく強化されたかっこうだ。なお、MA-5搭載端末以外は、40和音のMA-3を採用している。
内蔵ソフトウェアの機能では、全機種が「パステルメール」に対応した。これは、三洋電機製端末「A1302SA」「A1303SA」が搭載していた機能で、メールの背景色や文字色を24色から変更できるもの。文字の点滅なども指定でき、対応端末同士ならば色付き・効果付きのメールを送受信できる。KDDIは、今後発売する端末はパステルメール対応とするとしている。 動画関係では、INFOBARを除く全機種が、S/M/Lの3種類のEZムービーサイズに対応した。また、ムービーメールの送受信は、S/Mサイズの両方が可能になっている(INFOBARを除く)。 また、「着うた」(9月12日の記事参照)は全機種が対応している。東芝の「A5501T」はBoAの「Shine We Are!」の着うた、「VALENTI」の着ムービーをプリセットしている。また、ソニー・エリクソンの「A5404S」は中島美嘉の「雪の華」をプリセットした。
さて、今回のau端末には、それぞれに“独特の”機能が搭載されているのも魅力だ。 東芝のA5501Tは、テレビ出力対応。「テレビにつなげられるデジカメ」は当たり前のようにあるが、テレビにつなげる携帯は初めてだ。動画も撮影できるだけに、みんなで見て楽しむのにいい。東芝は「携帯電話で撮影したパーティーやイベントの様子をDVDに録画をして参加者に配付するといった、新しい使い方が可能になる」としている。 京セラのA5502Kは、やはり電子コンパスがポイントだ。GPSと電子コンパスは相性がいいが、携帯への搭載は最初期のGPSナビ端末「C3003P」以来。キセノンフラッシュ搭載やau端末初のQRコード読み取り対応など、特徴は数多い。「A5305K」に続く、ターンスタイルの2機種目であることも魅力だ。 三洋のA5503SAは、FMラジオチューナー搭載(9月24日の記事参照)。カメラは31万画素CMOSで外部メモリスロットこそ備えていないが、20ミリという薄さが光る。現行機種では京セラ「A5305K」が22ミリで最薄。 カシオのA5403CAは、USBクレードルが面白い。PCに接続したクレードルに置くと、自動的に画像がPCに転送される。ドコモの「FOMA F2102V」などクレードルを介してPCと接続できる機種が増えており、“とにかくメモリカード”ではなく、より簡単に画像のやり取りができる仕組みが求められる。 ソニー・エリクソンのA5404Sは、テレビ「ベガ」や「メモリースティックビデオレコーダー」でメモリースティックDuoにテレビ番組を録画して、端末上で再生できる。再生サイズはQCIFで、広いQVGA液晶上で再生すると少々小さくなってしまうが、携帯上で2時間以上、動画を楽しめるのは評価したい。
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