Mobile:NEWS 2003年10月9日 01:46 AM 更新

携帯電話としての「INFOBAR」

INFOBARは、着うた、GPS、ムービーそしてアプリにも対応と機能面でも相当ハイエンドの端末だ。しかしその上で、機能は無視して敢えてデザインで選ぶ。そんなちょっと贅沢な選択肢が、auにはある。

 デザインを最優先した「INFOBAR」が、auの新6機種の中でも一際注目を浴びている(10月6日の記事参照)。パンフレットに載っている、「ケータイをデザインする、という考え方をやめた」という言葉は、これまでの端末がどれほど機能優先でデザインされてきたかを表しているのだろう。


 とはいっても、毎日のパートナーである携帯電話だけに、どのくらいの機能があるのかは気になるところ。CEATECで展示されたINFOBARの実機から、“普通の携帯として”どの程度の使い勝手を持っているのか、チェックしてみた。

意外に押しやすい、タイル型キーボード

 まず気になるのは表面いっぱいに広がったキーボード。触った感触もすべすべしていて、目をつむればまさにタイル。「親指をすべらせながら指全体でキーを押す」という提案は、確かに新鮮だ。

 そしてタッチは案外といい。ここまでボタンが大きいと逆に、各キーの間に隙間がなくてもミスタイプはないし、11ミリという薄さの割にはキーストロークもある。というより、折りたたみかつ薄型の昨今の携帯よりもずっと“押した感”がある。

 キーのひとつひとつにLEDが入っており、夜でも視認性がいいと言うのもポイント。キートップに書いてある文字が大きく、BUILDINGやICHIMATSUでは背景と文字のコントラストが高いため、ボタンが見やすいのもいい。

 ただし十字キーの下とクリアは押し間違えることが何度かあったし、決定ボタンはくぼんだ位置にあるため、人によっては押しにくいかもしれない。

 液晶ディスプレイも問題ない。2インチ6万5536色TFT液晶は、2.2インチが主流の最新折りたたみと比べれば小さいが、半年前のハイエンド端末の液晶だ。

 ストレート型ということで、ポケットやカバンの中での誤操作が気になるが、左側面にはスライド型のキーロックスイッチが備えられている。


左側面の上にあるのがキーロックスイッチ。そこから順に、メールボタンとメモボタン(ページ送りキー兼ねる)、そしてEZwebボタン

 背面のカメラは31万画素CCD。15段階4倍デジタルズーム付きで、最大VGA(480×640ピクセル)サイズの静止画が撮影できる(VGA時はズームはきかない)。マクロの切り替えスイッチは備えていないが、そのままで5センチ程度までよれる。

 撮影補助用のライトは8色から色を選べる。被写体が暗かったら自動的に発光する、オートフラッシュも選べる。


背面部。目立たぬ位置にカメラとフラッシュ、着メロスピーカーが配置される。ちなみに、自分撮り用のミラーなどはない。電池は、特に小さいわけではなく630mAhのリチウムイオンが入っている

「A5306ST」ベースのソフト〜改良部分も

 製品名はINFOBARだが、隠された型番は「A5307ST」だ。製造メーカーである三洋マルチメディア鳥取は、7月に「A5306ST」を出したばかり。自然と、内部のソフトウェアもベースは同じだ。


A5306ST。東芝のA5304Tに続く、BREW対応端末第2弾だ。紫外線チェッカーなど、ユニークな機能も搭載している

 ソフトウェアの操作性も悪くない。ほぼすべてのシーンで、ダイヤルキーによるショートカットができるようになっており、十字キーよりダイヤルキーのほうが押しやすいINFOBARに合った操作系だ。画面は解像度が132×176ピクセルのため、QVGA表示に比べるとアラが目立ってしまうが、見にくくはない。


メール画面。INFOBARのATOK for au V2は、予測変換を標準装備。予測候補が三つ、画面下部に表示される。メールフォルダは12個設定可能。ダイヤルキーでショートカットすることもできる。メール一覧は3行表示と1行表示を切り替えられる

 ダイヤルキーでは、[*]ボタンにドライブモードが割り当ててあるのが、au端末では珍しい。大文字小文字変換ボタンや、逆トグルボタンなども備え、操作に不満は少ない。


カメラのライトはオートフラッシュも可能。色も選べる(CEATEC会場での撮影サンプル。それぞれ携帯サイズ。デジタルズームなし同じ場所からのデジタル4倍ズーム


データフォルダはauの標準タイプ。上部に残りメモリが表示される。撮影した画像は1画面四つのサムネイル表示も可能。右はEZアプリ(BREW)とEZwebのメニュー


待ち受け画面の時計表示は、INFOBARに合ったクールでシンプルなものが複数用意されている。カレンダー表示に設定した待ち受け画面は季節の絵が出る。画面9分割のアイコンを使ったメインメニューは4種類から選択できる


用意されているツールは、メモ帳、電卓、スケジュール。クリアボタンを押すとマナーモードを複数から選択できる。ハンズフリー機能やCメールフィルターなどの迷惑メール対策機能も、A5306STからしっかり引き継いでいる

 実際のところ、INFOBARの操作性は悪くない。7月発売の端末をベースに、さらに改良を加えているだけある。当然「着うた」に対応し、最新のMS-Based/EZナビウォークには対応しないが、GPS機能も備える。これから標準となるBREWアプリも実行可能だ。ムービーの録画・再生もこなす。

 いってみれば、au端末の最新基本機能をしっかりと押さえている。データフォルダの容量だけは、3Mバイト(別途BREW向けに1.2Mバイト)と少々少ないが、着うたなら30曲、携帯向け静止画なら300枚近く保存できる。

 INFOBARは“デザインだけで選んでいい”端末だと思う。もちろん、メガピクセルカメラやメモリカードといった豪華装備はないが、必要最低限の機能は備える──いや着うたやGPS、動画、アプリ対応は他社だったら相当なハイエンド端末だ。

 優れた機能を隠し持つ端末を、敢えてデザインで選ぶ。auならではの、ちょっと贅沢な選択だ。



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関連リンク
▼ IDEO Japan深澤氏のページ
▼ au design project

[斎藤健二, ITmedia]

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