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2003年10月14日　02:45 AM 更新

Intel、携帯向けメモリ「ワイヤレス・メモリ・システム」

携帯電話に使われる部品の中で、最も高いメモリ。Intelのワイヤレス・メモリ・システムこと「LV18」は、高性能なNOR型フラッシュをデータストレージ向けに最適化することで、コスト効率を大きく向上させた。

　Intelは10月14日、携帯電話向けの積層メモリ「Strata Flash ワイヤレス・メモリ・システム」を発表した。従来、コード部、データ部、RAMの3種類必要だったメモリを一つのパッケージに積層。コストを抑えると共に、1パッケージとして提供できるのが特徴だ。

　パッケージサイズは8×11ミリ、厚みは1〜1.4ミリ。動作電圧は1.8ボルトで最大容量は1Gビットまで対応する。11月にサンプル出荷を開始し、来年2月から量産に入る。

データ保存用に最適化されたNORフラッシュ

　携帯電話の部品の中で、最も高いのがメモリだといわれている（次が液晶、3番目がカメラモジュール）。フラッシュメモリ技術は順調に進化しているが、携帯電話はそれを上回る勢いで高機能化が進んでいる。搭載メモリ容量は毎年倍増が続いており、FOMA端末などでは既に512Mビットに達している。

　メモリコストをどう抑えるか、その解決策のひとつが今回の新フラッシュメモリだ。

　Strata Flash ワイヤレス・メモリ・システムは、「LV18」とも呼ばれ、従来のStrataフラッシュに比べてコストを大幅に抑えたのが特徴となる。

　実際のLV18は3種類のメモリ──コードの実行に適した通常のNOR型フラッシュとRAM、そして新開発のデータストレージに適したStrataフラッシュ──を、積層して1パッケージにまとめたものだ。ポイントは新開発のデータストレージ向けStrataフラッシュにある。

LV18は、3種類のメモリを1パッケージに積層した製品となる。ポイントは、V18と呼ばれるデータストレージ向けに最適化されたフラッシュメモリだ

　Intelが提供するNOR型のフラッシュメモリは、読み取りが高速など高性能だが、コスト面ではメモリカードなどに使われるNAND方式のメモリのほうが安価だった。そこで、NOR型から高速なイニシャルアクセスやマルチバンク機能を省くことでコストを低下させた。

　NOR型は伝統的に高性能化にフォーカスして進化してきたため、NAND型よりも高いという印象があったが、用途を最適化すればコスト面でも互角だとIntelは主張する。

　「データストレージに必要ない機能を省くことで、コストを下げることができた。ビットあたりの価格が、30％〜50％くらいは安くできる」（Intelフラッシュプロダクトグループのスティーブ・クーニアル プロダクトマーケティングエンジニア）

シングルアーキテクチャーの採用でデザイン簡素化

　携帯電話のメモリ利用法は、読み出しが高速なNOR型フラッシュを使ってメモリから直接コードを実行するやり方と、安価なNAND型フラッシュを使いコードをいったんRAMに転送してから実行するやり方の2種類がある。

　クーニアル氏は、「（NOR型は）コードを直接実行できるから、NOR型のみの単一アーキテクチャーで済むし、RAMの必要容量も少なくて済む。フラッシュのほうがRAMよりも消費電力も少ない」と、IntelのNOR型フラッシュの利点を説明する。

フラッシュメモリ内からコードを直接実行するXIP（eXecute In Place）に比べ、NAND型フラッシュを使うSnD（Store and Download）ではフラッシュからいったんRAMにコードをコピーして実行する。両者のコストは同程度だが、SnDでは二つのフラッシュメモリが必要になり、消費電力やチップ数の面で、NOR型フラッシュを使ったXIPのほうが有利だと言う

　従来の高速なNOR型フラッシュと、データストレージに最適化したNOR型フラッシュを組み合わせて提供することで、シングルパッケージの製品でありながら、性能を保ったままコストを下げた。

　「携帯電話のデータストレージ分野では、NAND型と競争していくことになる。ただし、Intelが提供するのはリムーバブルストレージの分野ではなく、組み込み分野の製品だ。シングルパッケージとして提供できることで、デザインも簡素化できる」（クーニアル氏）

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[斎藤健二, ITmedia]

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