新しい“2つのPalm”誕生株主の承認を受け、PalmはHandspringの買収を完了するとともに、ハード会社palmOneとソフト会社PalmSourceとして始動。米国時間の29日にはティッカーシンボルも新しくなる。
これまでのPalmは死んだ。そして新しいPalmよ永遠なれ。 PDAメーカーの米Palmは10月28日、Handspringの買収、そして会社をpalmOne(ハード会社)とPalmSource(ソフト会社)に分割するという提案について、株主から承認が得られたことを明らかにした。両社の株主はPalmの年次株主総会において、推定1億6900万ドル相当の買収取引を承認したという。 この取引の下、Palmは保有しているすべてのPalmSource株(全株式の約86%に当たる)を、28日業務終了時点で登録されている全Palm株主に配布する。Palmの株主は自分の保有する普通株1株につき、約0.31株のPalmSourceの普通株を受け取る。 またHandspringの買収完了にあたって、Palmは約1390万株をHandspringの株主向けに発行する。Handspringの株主は保有している普通株1株につき、0.09株のPalm株を受け取る。 またこの取引の一環として、29日からPalmSource株はNasdaq株式市場において、「PSRC」のティッカーシンボルで取引される。「PALM」「HAND」のティッカーシンボルでの取引は終了し、palmOne株も同市場で「PLMO」のティッカーシンボルで取引が始まる。 「本日の株主投票におけるスピンオフの承認は、モバイルデバイスとスマートフォンの市場に大いなる期待をもたらすものだ。PalmSourceとpalmOneがそれぞれの事業への集中を高めるに伴い、これらの市場は品質と卓越性の点で伸び続けるだろう」とPalmSourceとpalmOneのエリック・ベナム会長は発表文で述べている。 ベナム氏はpalmOneの会長にとどまるが、CEO(最高経営責任者)職にはトッド・ブラッドレー氏が就く。Handspring幹部だったドナ・ドゥビンスキー氏とジェフ・ホーキンス氏もpalmOneに加わり、ホーキンス氏はCTO(最高技術責任者)、ドゥビンスキー氏は取締役となる。palmOneの製品ラインは3つのサブブランドから構成される。コンシューマーおよびマルチメディア愛好家向けの「Zire」、企業とモバイルワーカー向けの「Tungsten」、個人および企業向けに販売されるスマートフォン「Treo」の3つだ。 palmOneはカリフォルニア州ミルピタスに本拠を移しており、従業員数は815人。ブラッドレー氏とホーキンス氏に加え、幹部には次の人物が名を連ねている。
palmOneの取締役は、旧Palmの取締役7人と、旧Handspringの取締役3人(ジョン・ドエル氏、ブルース・ダンレビー氏、ドナ・ドゥビンスキー氏)で構成される。 この新会社は、1992年にPalmを設立したホーキンス氏にとってはふるさととなる。Palmは1995年にU.S. Roboticsに買収され、そのU.S. Roboticsは1997年に3Comに買収された。1998年にホーキンス氏、ドゥビンスキー氏、コリガン氏はPalmを離れてHandspringを創設。その2年後、Palmは3Comから分離して初のIPO(株式公開)を果たした。 一方PalmSourceについては、デビッド・ネイゲル氏がCEOを務め、311人の従業員を擁する。同社はIBMとの開発協力を含め、引き続きPalmデバイス向けの次世代Webサービスアプリケーションの開発を進める。同社は主要提携銀行としてSilicon Valley Bank(SVB)と契約し、同行から運転資本のために1500万ドルの融資枠の設定を受けたことを明らかにした。 Palm OSプラットフォームは多数のファンを引きつけており、Palmベースデバイスのこれまでの販売台数は3000万台を超える。またPalm OS向けに開発されたソフトは1万9000タイトルを数え、モバイルデバイス向けソフトとしては最大のコレクションとなっている。 ネイゲル氏によると、PalmSourceの幹部陣は以下の通り。
「PalmSourceの競争力は、そのブランド力をはるかに超えている。忠実な顧客層、いくつものデバイスで採用されている定評あるPalm OSプラットフォーム、大規模で多様性に富んだサードパーティのデベロッパーコミュニティが同社に恩恵をもたらしている」とベナム氏は語る。Handspringの買収とPalmSourceのスピンオフは、PDA・ワイヤレス統合型デバイスの分野における明確な転換となったが、アナリストはこれについて、両社が変わり続けるモバイル市場で活動を続けるために、互いのノウハウを必要としていたことを示すものでもあると話している。 Handspringの買収が発表された6月に、Gartnerのテクノロジーアナリスト、マーティン・レイノルズ氏は、PalmもHandspringも単独では本当に強力な企業とは見なされないと思うとinternetnews.comに語っていた。両社は将来に向けてより良いポジション獲得につながるものを必要としていた。 「両社が別々に経営されていることに関わる問題の1つに、互いに競合し合って市場シェアが拡大しないという点がある。だが両社はこれから、コンシューマー分野で優れた製品を開発しているソニーに対抗していけるだろう。しかも、両社の製品ラインにはほとんど重複がない」(レイノルズ氏) またTreoが製品ラインに加わることで、PalmはNokia、Motorola、Samsung、Sony Ericssonといったスマートフォンメーカーと直接競合することになる。 IDCの上級アナリスト、アレックス・スロウスビー氏は6月の時点でこう語っていた。「重要なのは、PalmがワイヤレスPDA業界で優勢を誇ってきたということ。この市場はPalmの独擅場だった。統合型デバイスの分野はまったく新しい世界だ。Palmがこの種のデバイスで過去の財産を持たないからと言って、同社がこの業界に参入して制覇することがないとは言えないだろう」 関連記事 ロゴは消えてもOSとして残る「Palm」 [WSJ] Palm、「palmOne」に社名変更 PalmとHandspringの合併は強力なワイヤレスベンダーを産み出す Palm一家の再会は生き残りのため Handspring買収はPalmに何をもたらすか? PalmがHandspringを買収、創業者のジェフ・ホーキンス氏がCTOに復帰 [インターネットコム ] Copyright 2007 Jupitermedia Corporation. All Rights Reserved. モバイルショップ
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