Mobile:NEWS 2003年10月30日 10:31 PM 更新

TV内蔵、ナンバーポータビリティ──ドコモとKDDIの回答は

「テレビ内蔵携帯はドコモやKDDIからも出るのか?」「ナンバーポータビリティはいつ実現するのか」。ユーザーが注目する二つの内容に、ドコモとKDDIの社長が会見で答えた。

 10月30日、続けて行われたドコモとKDDIの中間決算発表では、質疑応答の中で同様の質問が2社の社長に発せられた。「テレビ内蔵携帯電話をどう考えているのか」「ナンバーポータビリティのスタンスは」というものだ。

テレビ内蔵携帯、課題はバッテリー

 ボーダフォンが12月に発売するテレビ内蔵携帯電話。これをドコモとKDDIはどう見ているのか。

 ドコモの立川敬二社長はアナログ地上波は問題外というスタンス。「デジタル放送なら携帯端末で見られる。要望が増えるだろう。問題はバッテリーだ。そこを慎重に考えて、燃料電池が使える頃(の搭載)がいいのではないか」

 KDDIの小野寺正社長もデジタル放送に期待する。「アナログチューナーでは、持って歩いても画像が乱れるだけ。そういった目的であれば、ソニーの端末(A5404S)のようにベガで録画して携帯で見るほうが素直ではないか。映像が安定するのは、モバイル放送かデジタルTV。いずれにしても最大のネックは消費電力」

 両社とも、テレビを携帯電話に内蔵しても1時間程度しか見られなければ使い物にならない、という考えだ。

 ボーダフォン向けのV601Nが連続テレビ視聴時間1時間(10月15日の記事参照)、NECや三洋電機が試作した地上デジタルテレビ放送対応端末も、現状の連続視聴時間は1時間〜90分程度(7月10日の記事参照8月8日の記事参照)。いずれにせよ、両社の要求に耐え得る視聴時間は実現できていない。

 ちなみに、一足早くアナログテレビ放送対応の携帯を市販した韓国のSamsung(6月10日の記事参照)のスタンスはどうなのか。同社のリサーチ担当者に会った際にもらったコメントは「高価格ということもあり数はあまり出ていないが、Samsungの技術力をアピールするために市販化した」というものだった。

 アナログ放送対応の端末を商品化してしまったボーダフォンは、端末に対する考え方がほかと異なるということなのだろう。

 なお、テレビ放送がデジタル化されたからといって問題が解決されるわけでもなさそうだ。地上デジタル放送については、「MPEG-4を使うと、パテント料を払わなければならない(2002年12月の記事参照)。このまま始められるかどうか」(立川氏)。モバイル放送も「(端末に)入れることは可能だと思っている。ただし、モバイル放送は有料放送。それが受け入れられるかどうか」(小野寺氏)。

立場分かれた、ナンバーポータビリティ

 総務省が研究会を作って検討を進めているナンバーポータビリティについては、ドコモとKDDIでスタンスが分かれた。

 「2005年に始まる、とは思っていない」と立川氏。世界各国の通信オペレータはナンバーポータビリティを導入してきているが、実は利用頻度は高くないと立川氏は説く。「英国オペレータの幹部に会ったときに、『3年前はこれ(ナンバーポータビリティ)しかなかった。今は使われていない』と話していた」

 ナンバーポータビリティしか選択肢がなかった2、3年前と違い、今はユーザーのニーズを満たすいろいろな方法があるというのが立川氏の考えだ。例えば「番号通知をもっと簡単にできる方法があるのではないか。携帯も固定電話のように通知したらどうか」。

 逆にナンバーポータビリティにある程度積極的なのはKDDIだ。「利便性向上からは積極的に検討している。ただし多額の投資が必要なので、コストを抑えて導入できるかを検討している」(小野寺氏)

 ボーダフォンはナンバーポータビリティにかなり積極的な姿勢だ。10月1日の社長会見で「グループとしてもナンバーポータビリティはあったほうがいい。“この番号だとこのキャリア”というのはユーザーの自由を奪っている。早く実現すべきだ」とダリル・E・グリーン社長は話している。

 3社3様のスタンスだが、全社が合意して取り組むのでないとナンバーポータビリティの実現は難しい。総務省の舵取りが期待される。



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[斎藤健二, ITmedia]

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