六本人、RFIDで進化するピッとしたら、プルル。ボタンを押すだけで自分の携帯電話にタイムリーな情報が届く、新しいサービスが「六本木ヒルズ」で11月から始まる。
今、一番のトレンディースポット(死語?)といえば、六本木に現れた巨大な街「六本木ヒルズ」。その広さゆえに、どこに何があるのか分からなくなることも多いが、そんなとき案内板と睨みあうのはシロートのやり方だ。立派な“六本人”を目指すなら、RFIDの発信機をピッと押してスマートに情報をゲッツ!(もうすぐ死語?)。
「六本木ヒルズ」。よくわからないキャラクターと「六本人、うまれる」のテレビCMでお馴染み 六本木ヒルズを管理運営する森ビルは、11月からRFIDを利用したワイヤレス・タウン情報サービス「R-クリックサービス」を提供する。これは、経済産業省の平成15年度「e!プロジェクト」の一環として実施されるもの。六本木ヒルズのリピーター層(コミュニティパスポートメンバー)からモニターを募集し、携帯電話と連携したタウン情報サービスを提供する実験を行う。
R-クリック端末。ボタンを押すとピッとIDを無線送信し、上部が赤く光る。ちなみに、ボディに描かれた6個の丸の意味が分かった人は、かなりの六本人 モニターに貸与するRFID端末「R-クリック」は、ボタンが1つだけあるシンプルなデザインだ。六本木ヒルズに10カ所設けられた「R-クリック」マークの周囲で(5〜10メートル)このボタンを押すと、自分の携帯電話にメールで情報が届く。メールの内容は、ヒルズ内の店舗案内や最新のイベント情報など多岐にわたるが、時間や場所、そしてユーザー属性をもとに内容を変えて配信されるという。 たとえば、地下鉄連絡通路や幹線道路付近など“六本木ヒルズの入り口”にあるスポットでは、ヒルズ全体の最新イベント情報などが届く。ショッピングモールや飲食店街なら、近くの店舗情報といった具合。しかも、昼飯時ならランチ情報、夜ならディナーの案内などに変わり、さらに「男性なら“大盛り割引券”など、性別や年齢によっても内容が変化する」(森ビル)という。
「R-クリック」マークは、人通りの多い10カ所にある
R-クリックマーク
アンテナの多くは景観に配慮してうまく隠されているが、一部露出している場所もある。写真は防災放送設備を利用して設置されたアンテナ
拡大図
ほかにも、六本木ヒルズの「豆知識」なんてコンテンツも用意される。けやき坂通りにあるお店「ENOTECA」の前でボタンを押したところ、近くの休憩スポットを紹介してくれた
「West Walk」にあるプラズマディスプレイの近くにもR-クリックマークが用意されている。ディスプレイに流れるビデオクリップが気になったら、すかさずピッ。アーティストの新譜情報など、PDPに表示されている広告を自分の携帯電話にクリッピングできる。コンセプトは、「携帯電話をメモ代わりに使うこと」だ。
右端のPDPに注目。上のほうにアンテナがみえる
画面の近くでピッ
アーティストグッズに関する情報メールが届いた もう一つ、RFIDならではのユニークなサービスがある。六本木ヒルズ内をぷらぷら歩いているだけで、突然、進行方向にある店舗の割引券などが届くのだ。 実は、R-クリック端末は、ボタンを押さなくても0.7秒おきにIDを発信している。このため、IDをキャッチしたアンテナの位置から、利用者の場所や進行方向を割り出し、タイムリーなメールを送信することができる。一歩間違えると迷惑メールになりかねないサービスだが、「六本木ヒルズを楽しめて、かつ“お得感”のあるメールにする」と森ビル。 また、該当する利用者全員にメールを送信するわけではなく、送信先はサーバ側でランダムに選択するという。したがって、二人で歩いているのに、一人にだけメールが届くこともある。これが超お得なクーポンだったりすると、一歩間違えればケンカになりかねないが、「こうしたゲーム性も魅力の一つ」と森ビル。なかなか楽しそうだ。
今回の実験では、アクセサリー型の小型端末を採用して手軽さで持ち歩けるようにしたものの、サービスの普及と拡大を前提とするなら、やはり携帯電話への内蔵が期待されるだろう。実験に協力しているNTTドコモは、ソニーが開発した非接触IC技術「FeliCa」を携帯電話に内蔵することを決めたが、森ビルでは、引き続き携帯電話への内蔵も検討を進めるとしている。 「FeliCaは近距離通信が前提だが、RFIDはディスプレイとの距離をとりたいサービスに適している。用途をすみ分けられるうえ、技術的には、携帯電話にFeliCaとRFIDを同居させることも可能だと聞いている」。 R-クリック実験の実施期間は、11月1日から2004年2月1日までの3カ月間。参加するには、まず六本木ヒルズの「コミュニティパスポート」(現在、入会金は無料)メンバーになり、その上でモニター登録を行う必要がある。登録の申し込みは、六本木ヒルズ内の「コミュニティパスポートカスタマーセンター」で受け付ける。 モニターの募集人数は4500人。最先端の六本人になりたいのなら、今すぐカスタマーセンターにレッツラゴー!(死語)。
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