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2003年10月31日 10:42 PM 更新
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BREW プログラミング入門(2)
“HelloWorld”プログラムを作ろう(1/3)
前回の連載では、BREW SDK 2.1をインストールするところまで解説しました。今回は実際にソースコードを書き、BREWエミュレータで動かしてみましょう。画面に "Hello World" と表示する簡単なBREWアプリを作成します。
前回の連載では、BREW SDK 2.1をインストールするところまで解説しました。今回は実際にソースコードを書き、BREWエミュレータで動かしてみましょう。画面に "Hello World" と表示する簡単なBREWアプリを作成します。
BREWモジュール
前回解説したように、BREWエミュレータで実行するBREWアプリケーションの実体は .dll ファイルです。これを "BREWモジュール" といいます。BREWモジュールには、必ずMIFファイルが必要で、HelloWorld.dllモジュールには HelloWorld.mifというファイルが必要になります。
この二つは必ずペアで扱います。MIFファイルはBREWモジュールに関するメタ情報を記述するためのものですが、詳細は後述します。
BREWモジュール内には一つ以上の "BREWアプレット" が含まれています。BREWアプレットというのは、一つのプログラムのことで、携帯電話のBREWアプリ一覧に表示されるアイコン一つ一つに対応します。つまり、一つのBREWモジュールで複数のプログラムを提供できるわけです。
各BREWアプレットは、一つの "クラスID" を持ちます。クラスIDとは、一つ一つのBREWアプレットを識別するための32ビット値で、世界中で一意のIDです。このIDは、正式にはQualcommやキャリアに申請して発行してもらうものですが、開発の段階ではどんなIDを使用しても構いません。
BREWモジュールの構造
以上のことから、BREWアプリケーションを開発するには以下の作業を行う必要があります。
- 各BREWアプレットのクラスIDの作成
- 各BREWアプレットの振る舞いの実装
- BREWモジュールのメタ情報を記述したMIFファイルの作成
- BREWモジュール (DLL) の作成
まずは、HelloWorldアプリの作成を通して、これらの作業を習得することにしましょう。
MIFファイルの作成
HelloWorldアプリケーションでは、HelloWorld.dllというBREWモジュールに、"HelloWorld" という名前のBREWアプレットを含めることにします。HelloWorldアプレットのクラスIDは 0x1234にしましょう。
これらの、BREWモジュールの情報や、そこに含まれているアプレットの情報は、MIFファイルに格納します。まずMIFファイルの作成手順を示します。
MIFエディタ
1) Windows の [スタート] メニューから [BREW MIFエディタ] を起動します。
2) BREWモジュールに一つのアプレットを含める設定を行います。まず [アプレット] タブの [新規アプレット] ボタンを押します。
3) [ClassIDの生成] ダイアログが表示されますので、[名前] に "HelloWorld" と入力し、[ローカル] ラジオボタンを選択します。また[ClassID] に "1234" と入力します。
4)[生成] ボタンを押すと、「ローカルにClassIDを生成してよろしいですか?」というメッセージが表示されるので、[はい] を押します。
5)[名前を付けて保存] ダイアログが表示されますので、HelloWorld.bid というファイル名で保存します。このファイルにHelloWorldアプレットのクラスIDが格納されます。
6)MIFエディタに戻り、[アプレット] タブの [ClassID] から 0x00001234 を選択します。これはHelloWorldアプレットを表すクラスIDです。アプレットの名前や種類、アイコンを設定します。[名前] には "Hello World" と入力し、[アプレットの種類] では "ツール" を選択。[アイコン] は今回は使用しないので空欄にしておきましょう。
7)一つのモジュールに複数のアプレットを含める場合は、手順 2)から6) を繰り返します。今回は一つのモジュールに一つのアプレットのみを含めます。
8)メニューから [ファイル]-[名前を付けて保存] を選択し、HelloWorld.mif というファイル名で保存します。
以上でMIFファイルの作成が終わりました。HelloWorld.dllモジュール (まだ作成していませんが) の中に一つのアプレットが含まれており、そのアプレットの名前は "Hello World" 、クラスIDは 0x1234 であることが記録されました。
.bid ファイルの中身
MIFファイルを作成する途中で .bid ファイルを作成しました。このファイルは、BREWアプレットのクラスIDを定義したC言語のヘッダーファイルです。テキスト エディタで開いてみると、次のようになっていることが分かります。
#define AEECLSID_HELLOWORLD 0x00001234
この .bid ファイルは、後でBREWアプレットの実装を行うときに、ソースコードにインクルードすることになります。
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BREWの開発環境
次に、BREWモジュール (DLL) を作成し、その中のアプレットの実装を行いましょう。BREWのソースコードはVisual C++で作成するので、本連載ではVisual C++ 6を使用します。Visual C++ 6がインストールされているシステムにBREW SDKをインストールすると、自動的にVisual C++ 6用のBREW SDK アドインがセットアップされ、"BREW アプリケーション ウィザード" を使用して多少楽にBREW開発ができるようになっています。
もしVisual C++ 6よりも先にBREW SDKをインストールした場合は、BREW SDKを再インストールすることでVisual C++のアドインがセットアップされます。
BREW SDKはVisual C++ .NETやVisual C++ .NET 2003と共に使用できますが、現状ではBREW SDKインストーラではアドインがセットアップされず、別途QUALCOMMのサイトからインストールする必要があります。
[倉谷智尋, ITmedia]
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