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2003年10月31日　05:39 PM 更新

SunとTI、ケータイJavaで提携

TIはSunからJava仮想マシンのライセンスを受け、携帯電話向けチップに組み込む。両社はこれにより携帯端末向けJavaアプリケーション開発が容易になり、コンシューマー体験が向上すると確信している。

　米Sun MicrosystemsとTexas Instruments（TI）は10月30日、2.5Gおよび3Gネットワーク対応のJavaベースワイヤレスアプリケーションの開発で提携すると発表した。

　この提携は、コンシューマーの間で音声通信・ワイヤレスマルチメディア統合型デバイスの需要をかき立てると同時に、携帯機器メーカーとワイヤレスサービス会社が提供するソリューションのコスト削減に役立つと、両社は示唆している。

　2.5Gならびに3G対応のワイヤレスネットワークはここ2〜3年弾みがついているが、勢いづいているのは主にアジア太平洋圏と欧州であり、各社は北米地域の需要を誘発しようとワイヤレスソフト、デバイス、サービスの販売に懸命だ。

　Sun、Microsoft、IBMなどは、これら大手各社の製品を補完する小規模なニッチ企業とともに、こうした開発の前線に立っている。米国での需要にさほどの活気が見られず、Windowsプラットフォームとの競争を強いられる状況にありながらも、Sunは一貫して「Javaベースアプリケーションを多数のモバイルスマートフォンやハンドヘルドPCに搭載すれば、大きな利益が期待できる」との信念を貫いてきた。

　Sunは最近、Java携帯端末の出荷台数が1億2000万台を突破したと発表。ワイヤレス製品向けチップのリーダーTIと今回手を組んだことで、同社の地位はさらに強化されることとなる。

　この取引の金銭的条件は明らかにされなかったが、TIは、SunからConnected Limited Device Configuration Hotspot Implementation（CLDC HI）のライセンスを取得し、GSM/GPRS、EDGE、CDMA、UMTS対応携帯端末向けのTCSチップセットと、ワイヤレスOMAPアプリケーションプロセッサに組み込む。

　CLDC HIは、PDA（個人情報端末）やセットトップボックスなどのコンシューマー向けガジェット、ならびに組み込みデバイスに最適化されたJava仮想マシン。SunとTIの両社は、CLDC HIの採用により携帯端末向けのJavaアプリケーション開発が容易になり、さらに高品質なコンシューマー体験が実現すると確信している。

　このほかSunとTIは、Mobile Information Device Profile（MIDP）2.0をTIのTCSワイヤレスチップセットとOMAPプロセッサに実装する作業でも協力している。MIDP 2.0はCLDCと合体することで、電話機や初心者向けPDAといったデバイス用のJavaランタイム環境を構築する。

　MIDP 2.0をTIのプロセッサに実装すれば、デバイスメーカーによるJavaガジェット開発作業がより簡素化すると両社は考えている。さらに両社は、SunのContent Delivery ServerでTIのOMAPプラットフォームへのJava実装を有効化して、携帯通信企業によるJavaモバイルデータサービスの提供を容易にする計画だ。

　TIは2004年4〜6月期をめどに、CLDC HIを採用したGPRSチップセットと携帯端末のリファレンスデザインを提供する見通しだ。TIのOMAPプラットフォーム上でCLDC HIと連係するMIDP 2.0も同じ時期にSunから提供される見込み。

　TIのワイヤレスチップセット事業部門副社長兼ジェネラルマネージャー、リック・コーンフィールド氏は次のように述べている。「オープン標準ベースのプラットフォームを基盤とした、魅力的な新しいアプリケーションを広く導入することにより、2.5G／3G対応ワイヤレス端末ならびにサービスへのコンシューマー需要を喚起できるだろう」

　調査会社IDCが行った最近の調査では、ワイヤレスサービスの価値の高さが強調された。米国各地の450人以上の意思決定権および影響力を持つ人々を対象に行ったこの調査によると、ワイヤレス・モバイルソリューションにおける企業投資を促進する主な要因は、「業務効率」と「生産性」の向上であることが分かった。

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