メールアドレスのポータビリティはどうなった?携帯の電話番号が引き継げるのなら、メールアドレスはどうなのか? キャリア、有識者といった総務省の研究会に集まったメンバーたちの意見は、「まだ時期尚早。番号ポータビリティとは切り離すべき」というものだ。
番号ポータビリティ(MNP)の議論が盛り上がってきているが(11月25日の記事参照)、携帯メールアドレスの“ポータビリティ”はどのように捉えられているのだろうか。 総務省主催の研究会でも「メールアドレスのポータビリティ」についての意見は出た。しかしいずれも「メールアドレスのポータビリティは時期尚早。番号ポータビリティとは切り離すべき」というものだ。
番号ポータビリティに積極的に賛成のボーダフォンでさえ、「電話番号と同時にメールアドレスのポータビリティを実現しようとするとMNPの導入自体を遅らせることになる」と消極的。 理由としてドコモが挙げたのが、
現状、携帯メールは、メール文字数や画像付きメールの送信方法など、キャリアごとにサービス仕様が違っている。ポータビリティを導入した場合、メールを送信するときに、相手のドメイン名を見てキャリアを判別できなくなるというのが「メール仕様の違い」だ。 「責任主体」とはメールサービスの品質を誰が保証するかということ。「例えばメールの遅延対策。docomo.ne.jpについて、どのキャリアが責任を持っているのか分からなくなる」(ドコモ) そして、インターネットの世界でもISPを変更すればアドレスが変わるのが一般的。「メールアドレスをポートするには、ドメインを引き継ぐというシステム面の大きな課題がある。インターネットの世界に共通した課題」(ボーダフォン) しかしこうした問題の具体例としてドコモが挙げた「iショットへの影響」を見ると、できない理由をわざわざ作り出している感もある。iショットサービスではドメイン名を見て宛先キャリア向けの処理を行っているために問題が起こるというのだ。
こうキャリアが積極的でない理由は、過去メールアドレスを変更したユーザーで「支障を感じた」とした人がわずか2.9%しかいなかった──というアンケート結果があるからだ。
ボーダフォンが、総務省が開催した番号ポータビリティ研究会第2回に提出した資料より 「これはメールアドレスを変更した場合の新アドレス通知の手間が、電話番号に比べて容易であることや、迷惑メールなどが存在する社会情勢からメールアドレスの変更がより頻繁に行われているといった状況が背景にある」とツーカー。 迷惑メール騒動の初期、メールアドレス変更ばかりを半ば強制した結果、もはや同じメールアドレスを使い続けることをあきらめてしまったユーザーが大多数だということだろう。 各社がメールアドレスのポータビリティに消極的な中で、スタンスが多少違うのがKDDIだ。 「メールアドレス変更に対する支障感は電話番号に比較して若干低いが、我が国では携帯メールの利用者が7割以上にのぼるなど、世界に先駆けモバイルインターネットによるメール利用が浸透し、若年層を中心にメールが携帯電話の主要機能になりつつある」(KDDI) とはいっても、「だからメールアドレスについても変更通知サービスが必要(11月7日の記事参照)」という結論であり、メールアドレスのポータビリティについては触れていない。 各有識者からも、“メールアドレスのポータビリティをぜひ”という声は上がらなかった。
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