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2003年12月12日　05:38 PM 更新

Mobile&Movie 第92回
アイデンティティー「1本、2本……、お願い、何とか電波つながって」

映画の中の名脇役として登場する“モバイル製品”を紹介する「Mobile&Movie」。今回ご紹介するのは、嵐の夜に片田舎のモーテルで巻き起こる連続殺人事件を描いた「アイデンティティー」。助けを求める携帯電話はつながるのでしょうか……。

作品名	アイデンティティー（identity）
監督	ジェームズ・マンゴールド
制作年・製作国	2003年アメリカ作品

　嵐の夜、男女11人が居合わせた片田舎のモーテルで、巻き起こるショッキングな事件。大雨のためモーテルの電話は不通となり、携帯電話から助けを求めようとしますが、電波のつながりにくい場所のため苦労します。外部と遮断されたその場所で、いったい何があったのでしょう。

　前方が確認できないほどの大雨の中、エドは女優のカロラインを乗せて、急いで車を走らせていました。エドは運転手として、カロラインにこきつかわれ、内心おもしろくない様子。カロラインの理不尽な要求に気をとられていた時、車に重い衝撃が走ります。事故を起こしたことに気付き、慌てて外へ出ようとするエド。カロラインは走り去るように命令しますが、無視して様子を見に行きます。

　土砂降りの中、倒れていたのはジョージの妻アリスでした。家族旅行を突然襲ったアクシデントに、ジョージは茫然自失、息子のティミもショックに震えるばかり。エドは慌てて救急車を呼ぼうとします。

「携帯電話を貸してくれ」

　エドが頼んでも

「電池切れよ」

とカロラインは知らん振り。病院に運ぼうとしますが、増水した道路は行く手を阻みます。

　途中で見つけたモーテルに立ち寄りますが、モーテルの管理人ラリーから、嵐のせいで電話線が不通になっていることを聞かされます。エドたちはモーテルに宿泊し、アリスの看病をすることに。やがて、嵐で足止めをくらった旅行者たちが、次々とこのモーテルに集まってきます。ひとり旅の元娼婦パリス、ルーとジニーの若者のカップル、そして、囚人を移送中の刑事ロード。こうして11人が偶然にも、嵐の夜のモーテルに集められたのでした。

　古びたモーテルに泊まることが我慢ならない様子のカロラインは、部屋に入るとさっそく携帯電話を充電。終わるや否や、ひとり雨の中へ飛び出します。

「1本、2本……、お願い、何とか電波つながって」

　携帯画面のアンテナの数をかぞえながら、つながりそうな方向へ歩いていくカロライン。

「いいわ、その調子よ」

　モーテルからどんどん離れ、暗い道を進んでいることにも気付かずに。

「最低！ またダメになったわ！」

　携帯を上へかざしてみても、電波は弱く、電話をかけられそうにありません。

「これだから田舎は嫌いよ！」

　悪態をつくカロラインに、近付く魔の手……。携帯電話で連絡を取ろうと外へ出たカロラインが、このモーテルで起こる連続殺人事件の第一の被害者となってしまったのでした。さらに雨は激しく降り続き、追い詰められた人々の恐怖を煽っていきます。次々と消されていく犠牲者の傍らには、なぜかモーテルの部屋の鍵が……。犯人は何者なのか推理しながら、謎が謎を呼ぶワンロケーションサスペンスを最後まで楽しんでください。

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