Mobile:NEWS 2003年12月12日 02:39 AM 更新

“無線LAN+フラッシュメモリ”なCFカードを試す

フラッシュメモリ製品でおなじみのサンディスクから、1枚のCFカードで無線LANとフラッシュメモリの機能を備える製品が登場する。2つの機能の統合はCFカードスロットを有効活用できるほか、利便性の向上にも一役かっている。

 サンディスクから登場する「Connect Plus 128MB+Wi-Fiコンパクトフラッシュ」は、そのネーミングから分かるとおり128MバイトのCFメモリカードと、802.11b準拠の無線LAN機能を一つのCFカードに統合した製品。付属のPCカードアダプタを利用すればPCカードスロットでも利用できる。


パッケージにはCFタイプの本体、PCカードスロット用アダプタ、ドライバCD-ROMが付属する。8センチCD-ROMなあたりがいかにも米国メーカーらしい(国内版では変更される可能性もある)

サイズを犠牲にせず、2つの機能を統合

 注目すべきは、一枚で二役をこなすにもかかわらず、サイズがほとんど犠牲になっていない点。CFタイプの無線LANカードとしてみても標準的なサイズで、装着時に出っ張る部分となるエクステンド部の長さ、厚さは共におおむね平均的なサイズだ。CF Type Uなので、実質ほとんどのCFカードスロットで利用可能だ。


単機能の無線LANカードとほぼ同じサイズ。エクステンド部の厚みもほとんど変わらない。PCカードスロット用アダプタを利用する場合でも、標準的なPCカードタイプの無線LANカードと、さほどサイズは変わらない

 対応するOSはWindows XP/2000/Me、Pocket PC 2002/2003だ。Linux Zaurusへの対応も望みたいところだが、基本的には世界市場向けの製品となるので普及率を考慮すると仕方がない部分だろう。マルチファンクションカードなので、OS側での対応が必須という問題もある。

 今回は評価用の製品ということでドライバが日本語非対応、CD-ROMに収録されているWindows XP用のHotfixにも日本語版が含まれずちょっと苦労させられたが、製品版では英語版同様Hotfixも日本語対応のものが含まれる。またPocket PCではこの心配は不要だ。なお今回の評価では、ユーティリティも英語版を利用している。

PCなら実質ドライバレスで使える魅力

 本製品をPCで利用する場合、魅力的なのは実質ドライバを準備しなくてもいいことだ。ちょっと語弊のあるいいかただが、フラッシュメモリ部分は標準ストレージとしてドライバレスで認識されるため、無線LAN機能用のドライバをCD-ROMから本製品にコピーしておけば、本製品をPCのCF/PCカードスロットに差し込むだけでドライバのインストールを実行できる。

 利用するPCの数が限られる個人用途ではそれほど大きなメリットではないが、ビジネス用途で無線LANカードを使い回す場合には便利。また本製品を予備の無線LANカードとして持ち歩いておけば、外出先で“ほかのノートPCと即席無線LANを構築する”といったことも容易に行える。

 PC向けにはドライバと共に専用ユーティリティも付属。複数のプロファイルを設定したり、ワンタッチで切り替えたりできる。アクセスポイント検索機能なども備え、Windows 2000/Meユーザーが重宝するのはもちろん、Windows XPユーザーでもOSの機能よりも詳細な情報を取得できる。


Windows用のユーティリティは大きめのウインドウで、情報の一覧性が高い。リンク速度や信号強度なども一つのウインドウで把握できる。アクセスポイントの検索機能も装備する

 無線LANカードとしての基本性能も悪くない。アンテナの位置関係から送受信の能力的には有利なノートPC内蔵無線LANと比較してみたが、送受信感度は概ね同等だった。初期のCFカードタイプの無線LANカードでは、“送受信性能が今ひとつ”という製品も見受けられたが、こうした心配はしなくてよさそうだ。


右が無線LANの送受信状態の良好な場所、左がかなり不安定な場所での受信状態の比較。黄色がノートPC内蔵無線LAN(Centorino)で、紫が本製品。受信性能はほとんど同等なのが分かる

Pocket PCでは複合機能がさらに有効に

 本製品が対応するもう一つの機器がPocket PC。Pocket PC 2002以降が搭載された国内メーカーの製品は、多くがCF+SDのデュアルスロット構成だが、一部にはCFスロットのみの製品もある。HPの(現コンパック)「Jornada 568」(2002年2月28日の記事参照)やNTTドコモの「Musea」(2002年7月29日の記事参照)、Pocket PC 2002にアップグレードしたiPAQ Pocket PC「H3600」シリーズなどではフラッシュメモリと無線LANの同時利用を可能にするため便利に使える。

 もちろんPocket PCでもマルチファンクションデバイスとして問題なく機能する。筆者は初代iPAQ Pocket PC(H3630)も愛用しているが、メモリが32Mバイトしかなく無線LAN利用時には不便だった。無線LAN利用時にはCFメモリカードにインストールしたアプリケーションを利用できないからだ。


iPAQ Pocket PC H3630+CFジャケットに装着。出っ張る部分もCF無線LANカードとしては平均的で特に違和感はない

 本製品のフラッシュメモリにWebブラウザの「NetFront3.0」をインストールし、無線LANを利用してインターネット接続をする──といった利用でもなんら問題はなく、インターネットの接続速度が特に遅いということもなかった。「そろそろ寝床インターネット端末としても引退かな」と思っていた初代iPAQ Pocket PCが、生き返った感じだ。

 付属ユーティリティの出来もいい。機能はWindows用に準じており、複数プロファイルの保存と切り替えはもちろん、アクセスポイントの検索機能、IPアドレスの状態表示、ping機能も備える。Pocket PC 2002には、IPアドレスの確認やping機能をOSが備えていないため、便利に使える。


TODAY画面の下部にも電波状態が常に表示される。ステータス画面では必要な情報をまとめて確認できる


アクセスポイントの検索機能も装備。接続タイプ(インフラストラクチャ/アドホック)の切り替え、送信速度の設定なども可能。パワーセーブモードを有効にしておいても何ら問題なく動作した


割り当てられたIPアドレス情報を確認したり、ping(ドメイン名指定は不可)を実行することもできる

 しかしPCでの利用に比べて残念な点がある。ドライバがWindows上からActiveSync経由でインストールするタイプで、Pocket PC単体ではインストールができないのだ。Pocket PC単体でできれば、PC同様ドライバをフラッシュメモリ部にコピーしておくだけで、“出先などでちょっと借りたPocket PCですぐに無線LANを使う”といったことができる。今後の課題として、改善を望みたい部分だ。

無線LANカード“どうせ買うなら”と思える製品

 ノートPCには無線LAN機能の標準装備が進みつつあり、CFタイプの無線LANカードはPDA利用のために購入する人も多いだろう。Poekct PC2002/2003搭載機で利用するのにマイナス材料は特になく、価格に納得できるならお勧めできる製品。PC用としても利便性が高いのは既に触れた通りだ。

 半面、マルチファンクションであるがゆえの注意点もある。例えば筆者のLinux Zaurus(SL-C760)ではメモリカードとしてすら認識しない。イネーブラがマルチファンクションカードに対応してないのだろう。元々対応製品ではないから当たり前だが、CFメモリカードとしても機能しないのには注意が必要だ。

関連リンク
▼ サンディスク

[坪山博貴, ITmedia]

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