Mobile:NEWS 2003年12月19日 08:13 PM 更新

iモード端末が「Suica」に〜JR東がデモ

JR東日本が“携帯を定期券に”するために動き出した。ドコモの試験端末を使いフィールド試験を開始。1〜2年後を目標に実用化する。

 JR東日本は12月19日、FeliCa内蔵iモード端末を「Suica」代わりに使い、自動改札機を通過するデモンストレーションを実施した。ドコモが行う「iモードFeliCaプレビューサービス」(12月15日の記事参照)の一環としてフィールド試験を行い、1〜2年後を目標に実用化する。


まさに“携帯が定期券に”。処理の速度などは、現行のSuicaと同等だ

 「携帯電話に入れてほしい機能」という調査で、常に上位に位置するのが“携帯を定期券に”だ。今回のフィールド試験は、まさにそのための第一歩となる。

 プリペイド型の「Suicaイオカード」と、定期券機能を備えた「Suica定期券」の両機能の搭載を目指す。携帯電話をSuicaとして使うことで、「携帯の場合、液晶画面で利用履歴や残額が見られる。また、JRのサーバにアクセスしてオンラインでチャージ(入金)できる」(JR東日本総合企画本部経営管理部の山田肇次長)といったメリットがあるという。

 JR東日本は、独自のSuica電子マネー機能を搭載した「VIEW Suica」のサービスも開始しているが(3月4日の記事参照)、携帯では「Suica電子マネーの試験はしない」。

フィールド試験で性能測定と利用法検証

 フィールド試験の目的は「通信距離や処理時間など性能の測定と、携帯を自動改札機にどうかざすかなど利用方法の検証」(山田氏)。

 非接触ICカードであるSuicaも、技術としてはFeliCaを使っている。「自動改札は改造せずに、(携帯で)利用できるようにしたい」と山田氏が言うように、両者の互換性は極めて高い。

 しかし、携帯電話のどの部分にFeliCaが内蔵されているかで、動作が不安定になる場合もあるなど、携帯内蔵型ならではの課題を検証する必要があるという。


「N504iC」はバッテリー面に、「SO504iC」は背面ディスプレイ面にFeliCaICチップとアンテナが内蔵されている。FeliCaが通信に使う電波に指向性はないが、金属などの影響を受けやすいため、現状FeliCaが内蔵されている部分を下にしないと認識されなかった

 また、「Suica開発時には(携帯にFeliCaが載ることを)全く想定していなかった」というように、システム面での対応が課題となる。実用化までに1〜2年かかる理由としては「オンラインチャージのバックヤードシステムの開発」などに時間がかかる点を挙げた。

 フィールド試験は2004年2月〜夏頃にかけて、100〜200台程度の「N504iC」「SO504iC」を用い、同社社員が実際の駅で行う予定だ。

KDDIとも開発中

 JR東日本は、ドコモとだけでなくKDDIとも携帯電話にSuica機能を載せる検討を行っている(12月12日の記事参照)。「実験室レベルでの開発はしている」(山田氏)

 ドコモは、既に各社とフィールド試験に入っており、2004年中頃にはFOMAおよびPDC端末として市販する予定(10月27日の記事参照)。KDDIは日立が端末を開発済みで、2004年早々にはトライアルを行う。

チャージ(入金)はオンラインが中心

 iモードFeliCaをSuica代わりに使うに当たっては、Suicaのシステムがカードに最適化されていることがネックの一つになりそうだ。

 例えば、Suicaのチャージ(入金)は現在カードを機械に吸い込ませて行う。「チャージが終了する前にユーザーがカードを取ってしまうのを避けるため」だというが、iモードFeliCaではこの機械は使えない。

 自動精算機もそうだ。機械の変更なしではiモードFeliCaでは利用できない。

 自動改札の“タッチ部分”も携帯電話を当てるようには作られていない。仕様上は、10センチの距離で認識することになっているが、携帯電話の場合は向きによって認識距離が変化するため、ユーザーがセンサーに携帯を当てる可能性がある。強度などの検証はこれからだが、改札の改造なしで実用化するためには、携帯電話側の対応も必要になる可能性がある。



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関連リンク
▼ JR東日本ニュースリリース

[斎藤健二, ITmedia]

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