Mobile:NEWS 2003年12月24日 02:09 AM 更新

2004年はビジネスアプリ元年

“3キャリア対応”は携帯ビジネスの必須要素。しかし、アプリに関しては公式コンテンツサービスでしか3キャリア対応が難しかった。ボーダフォンが全Vアプリをオープン化し、法人向けアプリの配布環境も整ってきたことで、ビジネス向けの携帯アプリケーションの市場が形成されつつある。

 携帯アプリといえばゲーム──。2004年はそんな印象を覆す年になるかもしれない。

 ドコモ、KDDIに続き、ボーダフォンもアプリ仕様を公開したことで、一挙に一般アプリ市場が拡大(10月1日の記事参照)。そして法人向けのVアプリ配布環境も整備されてきた(11月25日の記事参照)。こうしたことで、ゲームが中心だった携帯アプリ業界に、ビジネスへの展開が見えてきている。


ボーダフォンの携帯アプリ(Vアプリ)は、これまで「J-5x」「V600」で利用できる100Kバイトアプリしかオープンになっていなかった。全Vアプリの仕様を公開したことで、市場規模は200万台から一挙に750万台に。併せて、ボーダフォンは一般サイトのVアプリ課金代行も始めているため(12月9日の記事参照)、ビジネスとして成り立たせる基盤も整ってきた

 12月24日、スパイシーソフトは「Vアプリビジネス参入セミナー」を開催した。アプリおよび着メロ大手のタイトーは「企業が販促でアプリを使い始めてきた。2004年はアプリビジネス元年」(SB営業部営業課長の松澤直満氏)だと話す。

販促キャンペーンのプレゼントは着メロからゲームに

 携帯アプリのビジネス展開で盛り上がりつつあるのは、企業のノベルティとしてアプリを使う方法だ。企業が販促キャンペーンの一環として携帯電話を使う手法が流行だが、そのプレゼントも初期の着メロから簡単なゲームやチャットソフトなどのアプリに変化してきている。  デジタルコンテンツをノベルティに使う例として多かった着メロは、「価格競争の結果、クオリティも劣化。企業から不信感を抱かれつつある」と言う。

 携帯向けのインスタントメッセージング(IM)ソフト「アルファメッセンジャー」(2002年7月の記事参照)を提供しているアルファーテクノロジーアンドコミュニケーションも、「着メロに代わる新しいデジタルノベルティ」としてアプリに期待する1社だ。飲料メーカーのキャンペーンとして、同アプリを提供したところ、コマーシャルも打たずに「2週間で1万4000ダウンロードがあった」(事業開発本部本部長の児山亮氏)と話す。

 「着メロだと、継続してユーザーを囲い込むことができない。では毎日使うものは何か」と、IMソフトの有利性を強調。ダウンロードしたユーザーから口コミで広がることも特徴だと言う。

コストはかかっても高クオリティを求める企業

 携帯ゲームの場合、クオリティを維持するためコストは高くなる。公式サイトで提供しているレベルだと、1本300万〜500万。3キャリア対応となると1000万円近くなると松澤氏は説明する。ノベルティに使うミニゲームならば最低200万から可能だ。

 「ありものではなく、ブランドに合わせたゲーム──という要望が増えている。400万〜800万円とコストがかかっても、ブランド訴求がしっかりできるゲームを作ってくれと言われる」(松澤氏)

 松澤氏は、数千億円といわれるプレゼントキャンペーン市場の20%程度を、携帯アプリ業界で取りたいと意気込んでいる。


「ゲームは、有料で公式サイトから落とすよりも、企業の販促でもらいたい──、というユーザーの嗜好が浮き彫りになった」とタイトーの松澤氏。同社が携帯一般ユーザーにアンケート調査を行ったところ、携帯ゲームを販促ツールに使う現実性が見えてきた

ターゲットを絞れば企業向けソリューションも

 企業の販促ノベルティへの応用が目立つ中、企業向けの携帯ソリューションもやり方次第──としたのがアイ・エイ・ジェイだ。同社は勤怠・営業管理の携帯アプリソリューションをASPサービスとして企業に導入している。

 同様のソリューションは多数あり、エンタープライズ向けのグループウェアやERP (Enterprise Resource Planning)ソフトにも“携帯電話対応”はあって当たり前の機能。しかし、同社の松本成夫社長は「グループウェアだと焦点がボケる。どこにターゲットを絞るかが重要だ」とする。

 同社の「M4B」は、携帯のリアルタイム性を生かし、勤怠管理・営業管理に特化したシンプルなアプリを作ることで、20社以上への導入を果たした。「携帯のアプリにPCと同じような感覚を持っている方が多いが、)アイ・エイ・ジェイでは)携帯はテレビのリモコン程度としか思っていない」と言うように、携帯電話ならではの使い勝手を重要視している。

 「Webベースのシステムに比べて、アプリはサクサク動く、地下などでも使える、通信費がかからない。ゲームだけでなく、ビジネスに使っているソリューション」だと、今後のビジネス向け携帯アプリの発展に期待している。



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▼ ビジネスプロバイダー
▼ タイトー
▼ アルファーテクノロジーアンドコミュニケーションズ
▼ アイ・エイ・ジェイ

[斎藤健二, ITmedia]

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