Mobile:NEWS 2003年12月26日 02:49 AM 更新

「ターゲットは20代女性」〜KDDIに聞く「EZチャンネル」戦略

auの高速データ通信サービス「CDMA 1X WIN」に対応したコンテンツ「EZチャンネル」。実際体験してみると、どこで見るのを想定しているのか、ターゲット層は、今後の展開は──などさまざまな疑問が浮かんでくる。KDDIのコンテンツ開発担当に聞いてみると……。

 「EZチャンネル」(10月22日の記事参照)は、“寝ている間にやってくる”プッシュ型のコンテンツサービス。動画はなめらかで音質もよく、内容もそこそこ楽しめる(12月16日の記事参照)。「なかなかいいじゃん」と気に入たのだが、どうしても腑に落ちないところがあった。 「コレ、どこで見ることを想定して作られてるんだろう?」

 EZチャンネルを巡るさまざまな疑問を解決するべく、KDDIのコンテンツ開発担当としてEZチャンネルに関わる竹ノ内剛氏に聞いた。


KDDIソリューション事業本部コンテンツ開発部 コンテンツ開発2グループリーダーの竹ノ内剛次長。コンテンツのプッシュ型配信に関する構想そのものは「1年半ほど前からあった」

EZチャンネル閲覧にはヘッドホン推奨?

 EZチャンネルのタイムテーブルを見ると、「週刊お嬢様の常識」「anan Fashion Weekly」「お姫様の食卓」など、女性を意識したタイトルが多い印象を受ける。KDDIはどんなユーザーを「EZチャンネル」のターゲットに想定していたのだろう。

 「実は20代の女性を狙っていたんです。EV-DOの活用を考えたときにターゲットになったのがメールやムービーのやり取りを頻繁に行っている層でしたから。しかしフタを開けてみると、予想通りというか何というか、新しいもの好きの30代男性でした」(竹之内氏)

 現段階で女性層は4分の1程度。竹之内氏は女性層がすぐには飛びつかなかった理由として、端末のデザインや重さ、形などがとりわけ女性好みに作ってあるわけではないことを挙げたが(確かに「INFOBAR」のようなボディだったら女性は飛びついただろう)、個人的にはWIN端末の価格の高さも影響しているのではないかとも思う。

 「EZチャンネルはどこで見ることを想定しているのか?」──については予想通り「電車などで移動している最中や外出先」という答えが返ってきた。とはいえ、やはり電車の中などでは音が周りに聞こえるため楽しみにくいと予想されるため、「ヘッドホンを装着してほしい」。そのほうが「コンテンツの音の良さがより分かる」ということもある(エンコードレートは128Kbps)。しかし、「ケータイのコンテンツを楽しむのにヘッドホンを使う」というのが、現状では一般的ではない。それをどう普及させるのかが今後の課題だ。

 さらに「ヘッドホンを付けるのはいいが、小さい画面を見ながら電車やカフェでニタニタするのはマズイのではないか」というのも気にかかる。

 「それはさほど問題視していません。ケータイへ来たメールを読んでニヤッとすることもありますよね。それと同じだと思うんです。確かに『よしもと丼 はじめました。』のようなコンテンツは確実に笑いを提供していますから思わず吹き出してしまう事態も起こり得るでしょうが」

今後は“インフォマーシャル”的なコンテンツも

 EZチャンネルはその名の通り「テレビ番組」を意識して作られている。「テレビや雑誌などのメディアを、なぜ面白いと感じるのか。それは、視聴率や売り上げにみられるように『面白いものが支持される』という競争原理が働いているから。まだまだ先の話でしょうが、加入者が増えてコンテンツも充実したら、コンペティションを実施することで、質の高い番組を配信できる仕組みにしていきたいと考えています」    現在、約20番組がラインアップされるEZチャンネルだが、お手本にしているのは「朝6時〜8時台で放送している朝の放送番組」だと竹之内氏。社会、国際、スポーツ、芸能を含めたエンタテインメント系のニュース、占い、ランキング、街のレポートなどがコンパクトにまとめられているからだ。「朝の忙しい時でも自分が見たいところをサッと見られる手軽さを提供したい」

 「EZチャンネル」がプッシュ配信される時間は、明け方一回のみになっている。これはトラフィックの関係上、明け方以外の時間では地域によって狙った時間にコンテンツを確実に届けられない可能性も出てくるためで、今のところ配信時間を増やす方向では考えていない。しかし、配信は明け方にしておいて、コンテンツプロバイダ側が意図した時間に届いたように見せかけるという(例えばお昼の休み時間に合わせて、ニュースやお勧めランチ情報を流すなど)、タイムスケジュールを意識した配信方法は検討しているという。

 今後は、「他メディアとの連携」を計画中。今でも「着うた♪ランキング」では着うたを購入できる仕組みになっているが、そうした感覚で雑誌やテレビ、ラジオ、ショップのWebサイトなどとシームレスな連携を図りたい考えだ。「情報収集や商品の購入などを行えるインフォマーシャル的な役割を持つチャンネル──といったものを考えている」。    このようにKDDIとしては、さまざまな構想を練っているが、何といってもEZチャンネルはまだまだ始まったばかり。手探りで進めながら試行錯誤している状態だ。「番組に対するユーザーからの意見や要望、リクエストなどをどんどん受け付けたい」

 私の要望を言わせて頂くと……。

要望その1 ケータイ上で見られる番組一覧表が欲しい

 携帯端末のメモリ容量によるところだが、今のところEZチャンネルは登録できる番組の数が三つに限られている。ユーザーは「えーと、アレは水曜の更新でこっちは金曜日、そっちは月〜水かぁ」などと、「どういう組み合わせがより多くの番組を楽しめるか」を計算しなければならない。Webサイト上には番組表の一覧が載っているが、ケータイではそれが確認できないので、ぜひ月額料金の記載と共に一覧できる番組表を作って頂きたい。  

要望その2 音付き/音なしコンテンツかどうかを表記してほしい

 コンテンツ内容はある程度説明されているが、それがムービー付きなのかそうでないのか」「音が重視されるのか」などは書いていない。ヘッドホンを持っていないからといって、音を消してムービーを見るのはなんともわびしい。朝の満員電車の中でも気軽に見られるようなものなのか、音アリ/ナシの表記を望みたい。  

要望その3 コンテンツの長さをあらかじめ教えて!

 番組が全部でどれくらいの長さなのかが分からないと「今、時間があるけど、最後まで見られるかな?」と判断しにくい。番組の中には著作権の都合上「3回表示して終わり」というものもあるが、中断しても1回とカウントされるのがちょっと辛い。もちろん中にはムービーをスキップできたり、見たい内容を選ぶタイプのチャンネルもあるが、全体でどれくらいの時間なのかをあらかじめ教えてもらえれば、再ダウンロードの手間が省けて助かる。    ライバルには「本物のテレビ番組」を見られる端末もある(10月15日の記事参照)。それにどう対抗していくのか。今後のEZチャンネルに期待したい。



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[野田幾子, ITmedia]

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