テレビ電話を気軽に使ってもらおう──。そんな目的で登場するのが900iシリーズの新機能「キャラ電」。自分の代わりに3Dキャラクターの分身アニメを表示させるものだ。
900iシリーズ(特集記事参照)登場に向けてキャラ電ポータルサイト「iキャラコール」を準備しているケイ・ラボラトリー(以下、Kラボ)に、キャラクター作りへのこだわりを聞いた。
「iキャラコール」は、タカラモバイルエンタテインメントとKラボが共同運営するキャラ電サイト。タカラモバイルエンタテインメントが権利を保有し、これまで3D化してきたキャラクターのデータを、Kラボがキャラ電に加工、配信する。
両社は900iシリーズ発売時期に合わせて開発を進行中。サービスインと同時に20体を提供、毎週1キャラクターを追加配信する予定だ。
キャラクターのラインアップは、着せ替え人形でおなじみのリカちゃんをはじめ、ティーン向け女性誌「POPTEEN」のメインキャラクターとして人気の「POPちゃん」、トランスフォーマーシリーズのコンボイやメガトロン、ミニチュアダックスやチワワといった動物など。どちらかといえば、若者を意識したキャラクターを揃えている。
「900iシリーズは、若いユーザーを中心に普及すると見ている。新機能の中でもキャラ電は、10代や20代の若者層に広がりそうなので、そこに向けたキャラクターを投入してサイトの成長につなげたい」(企画制作部コンテンツ・プロデュースグループの倉田浩明ディレクター)
そのためPOPちゃんのキャラ電では、雑誌「POPTEEN」に掲載された洋服を着せたり、背景を雑誌の表紙にしたりといった、メディアとの連携も計画している。
またキャラ電が、着メロのように相手によって異なるキャラを設定できたり、動きの面白いシーンをキャプチャーして待ち受け画面に設定できるといった機能を備えていることから、「コレクターアイテム的要素も期待できる」と倉田氏。毎週、新しいキャラクターを追加するのは、こうした理由からでもある。
キャラ電用キャラクターの制作にあたり、Kラボが注力したのはキャラクターの動き。「タカラが持っている3Dキャラクターには、動きのデータとしてプロのパントマイマーのモーションキャプチャデータが付いている」(倉田氏)。見ているだけでも面白いという、この動きのデータを、限られた容量のキャラ電キャラクターの中に落とし込むのには工夫が必要だったという。
「通常3Dモデルに動きを付ける場合は、動きのポイントを決めてその間を補完させるが、モーションキャプチャの動きデータはそれぞれの動きがすべて記録されているため、データ量として重い。また動きもリアルすぎて、そのままモデルに当てはめると微妙に震えているように見えてしまう。間を間引いてみたり、大げさなところを削ったり、間を間を詰めたり伸ばしたり──といった作業を繰り返して、キャラ電に最適な動きを作った」(企画制作部グラフィックグループの荒田研デザイナー)
また、男と女のキャラクターでは同じアクションでも動作が異なるよう動きを変えている。「例えば挨拶でも、女のキャラは丁寧な感じで、男は『オッス』といった感じ」(倉田氏)。
さらに3月頃に投入予定の“チョロQ”のキャラ電では、携帯電話をラジコン感覚で使えるような動きをつけることも考えている。「チョロQの場合は、感情を表すアクションをつけるよりは、ラジコン感覚で遊べるようにしたほうが面白い。[6]キーを押したら右回転、[4]キーを押したら左回転する──といったような、走り回ったりウィリーしたりという動きを付けてみようと思っている」(倉田氏)
最初に投入するキャラクターは、全身の動きでさまざまな感情を表現するタイプだが、表情で感情を表現するキャラクターの開発も進めたいという。「(目や鼻、口などの)パーツを別々で作る必要があるうえ、自然な顔の表情を表現するのは難しい。細かく動きを検証しながら開発を進める」(企画制作部クリエイティブグループのチーフデザイナー、早川研次氏)。
キャラクターの種類も、「他社ではできないようなキャラクターを入れていきたい」と、拡充に積極的。「参入はしたいがノウハウを持たない、単独でキャラ電を作るほどの体力がない、といったライセンサーと協力してラインアップを広げたい」
また将来的には、モデルやテクスチャ、背景、動きなどをユーザー自身が選ぶと、オリジナルのキャラ電データが書き出されるような仕組みも取り入れたい考えだ。
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