香港3Gスタート 国際テレビ電話を試す

» 2004年02月06日 23時56分 公開
[木暮祐一,ITmedia]

 1月29日からスタートした香港の3Gサービス「3 Hong Kong」(1月29日の記事参照)。W-CDMA方式で展開されるこの3 Hong Kongで、最大の関心を集めているのがVideoCall(テレビ電話)機能だろう。VideoCallは3 Hong Kongおよび海外のHutchisonグループの3Gユーザー間で通話が可能。2月6日からは正式に日本のFOMAユーザーとも相互通話が可能になった。

発着信の操作手順はFOMA同士の通話と同じ

 今回の通話相手は香港在住で、3 Hong Kongサービスインの速報を寄稿した山根康宏氏。通話実験では、3 Hong Kongサービス開始とともに山根氏のNEC製3G端末「c616」と、こちらのFOMA「F2102V」および「F900i」とで通話を試みた。

 国際VideoCallの使い方は、FOMA同士のテレビ電話通話と何ら変わらない。まずは香港からFOMAへVideoCallしてみた。FOMA同士のテレビ電話と同様に、FOMAにはVideoCallで着信していることを示す画面がディスプレイに現れる。

c616からVideo Callで日本に発信する際の画面(左)香港からのビデオコールをF900iで受けている画面。きちんと番号通知されてきた(中)ちなみに、3 Hong Kongサービスイン直後に通話実験した際は「通知不可能」の着信であった。NTTドコモの正式なサポートとともに番号通知も可能になったようだ

 サービスイン直後で、まだ利用者がほとんどいない状況のためか当然のことだが、香港における3 Hong Kongの通話品質はかなりいい印象を受けた。移動しながらの通話も試したが、途中での通話断はなく、F2102V、F900iのディスプレイに香港中心部の風景が次々に映し出された。画像の乱れもほとんどなく、通話しながら建物へ出入りしても、通話に支障はなかった。

まずは屋内同士の通話。日本〜香港の距離感を感じさせないのがVideoCallのすごいところ。そもそもFOMAの通話は国内通話でも音声の遅延が気になっていたので、香港にかけても遅延は国内通話と変わらない程度(左)。屋外に出てもらい通話を試みた。日常的に音声通話を欠かさない香港では、イヤホンマイクやヘッドセットを使ってハンズフリーで通話するシーンをよく見かける。そのためイヤホンマイクでVideoCallしているシーンも違和感がないそうだ(中)。c616に映し出されたVideoCall画面(右)
c616のカメラを切り替えてもらい、香港の風景を映し出してもらった。ブレないようにしっかりと端末を構えてもらえば、看板や標識などの文字も判読が可能だった

 次に、FOMAからVideoCall発信を試した。VideoCallは、NTTドコモが提供するワールドコール「009130」でのみ発信することが可能だ。残念ながら001などのほかの国際電話会社経由ではVideoCallで発信できない。

 発信の手順は、009130+010+852(香港の国番号)+XXXXXXXX(相手の電話番号)をプッシュし、VideoCall専用発信ボタンを押すだけ。「プルプルー」という呼び出し音は、普段聞きなれている日本のものとは異なる音が聞こえ、相手がVideoCallで電話を取って通話開始となる。

FOMAからはNTTドコモが提供する国際電話サービス009130のみ発信が可能である。香港へのVideoCallの通話料金は44円/10秒と高額だ(左)。日本からかかってきた際のc616の画面。日本からの電話番号が通知されている(右)

 日本国内では、FOMAとボーダフォンのVodafone Global Standard(VGS)との間で相互のVideoCallが可能だが、3 Hong KongとVGS間のVideoCallは現時点でサポートされていない。3 Hong KongはHutchisonグループ以外のオペレータとの相互接続も視野に入れているようなので、通話が可能になる日を心待ちにしたい。

 3 Hong KongとVGSとの通話では、3 Hong Kong側から発信しても、あるいはVGS側から発信した場合、共にVideoCallで発信操作すると話中になり、「接続できません音声接続しますか」という画面になってしまう。

c616から日本に発信し、相手がVideo Call非対応だとこのように「Videoでつながりません。音声通話に切り替えます」という表示が出て、いったん接続が切れ、自動的に同じ番号に音声通話としてリダイヤルしてくれる。手元の「V801SA」(VGS)に発信してもらった場合でもこのような画面になってしまう

“国際化”していないFOMAからの通話料

 FOMAからのテレビ電話発信が高額なのには注意したい。国際VideoCallは、通常の音声通話とは異なる通話料が設定され、日本から香港へかけた場合、264円/分(44円/10秒)となる。

 一方、3 Hong Kongが定める香港から日本への通話料は、音声通話、VideoCall共に香港ドル6/分である。日本円に換算すると約84円/分だ。日本からかけた場合、じつに3倍近い通話料金がかかることになる。

 日本の国内通話料は、国際的な通話料水準と比べほぼ横並びのところまで下がってきたが、日本から海外への国際通話料は依然として世界水準よりもはるかに高い。国際通話料についてはあまり議論されていないが、この差を目の当たりにすると、真の意味でまだまだ通信の国際化に立ち遅れているといわざるを得ないだろう。

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