電子コンパス【でんしこんぱす】Mobile Keywords

» 2004年02月17日 14時50分 公開
[江戸川,ITmedia]

 電子コンパスとは、半導体を用いた地磁気センサー(方位センサー)で、地球が生じている南北の地磁気を検出して、方角を算出する機能のこと。あるいは、その機能を実現するための地磁気センサーそのものを指す。いわゆる方位磁石のハイテク版が電子コンパスだ。

 地磁気センサーにはいくつか種類があり、その代表格が中心部にMR素子を使ったもの。MR素子(磁気抵抗素子)とは、磁気の強さによって抵抗値が変化する素子で、具体的には地磁気の方向とセンサーの角度によって値が変化する。抵抗値の変化は電流の変化として読み取られ、南北の方向との角度に換算される。

 MR素子はサイズが大きく、小型の携帯電話などに組み込むことが難しい。そこで新たにMI素子を使った地磁気センサーが開発された。磁気の強さに応じて変化するのは、抵抗値のRに代わって、インピーダンスのIだ。MR素子に比べると磁界検出感度が1桁高く、なおかつ平均消費電力は約70%削減されるという。素子のマイクロ化と2軸切替タイプの回路を採用したことで、地磁気センサーの超小型化に成功している。

 電子コンパスが携帯電話に組み込まれたのは、auの発売したcdmaOne機「C3003P」が初となる(2002年2月の記事参照)。GPS機能を利用した位置情報サービス「eznavigation」と連動することで、画面に地図を表示し、進む方向が常に画面の上になるように自動回転する機能「ヘディングアップ」が搭載された。

 最近のラインナップでは、自らの移動によって自動的に地図がスクロールされる「EZナビウォーク」(2003年10月の記事参照)に対応したA5502Kもこの電子コンパスを搭載しており(2003年10月の記事参照)、カーナビライクなナビゲートを可能にしている。

 注:C3003PはFG方式による地磁気センサーを、またA5502Kはホールセンサー方式を採用しており、解説のMI素子は使っていない。
電子コンパスの概観と構造(図版:http://www.aichi-mi.com/5_2_transistor_gijutu/FIG9.GIFより)

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