骨伝導【こつでんどう】

» 2004年02月25日 15時24分 公開
[江戸川,ITmedia]

 骨伝導とは骨を使って音を伝える技術・方法のこと。鼓膜がなくても音が聞こえることから、聴力に障害を持つ人向けの電話機や補聴器などに利用されてきた。これまでにも家庭用のコードレスホンに同機構を採用した製品が存在したが、ツーカーの「TS41」発売によって携帯電話の世界にも骨伝導の技術が登場した(1月15日の記事参照)。

 音の聞こえ方には2通りある。ひとつは、空気の振動が鼓膜の振動となり、その振動が蝸牛という聴覚器官に伝わるもの。蝸牛からは微弱な電流となって、脳に送られ、人はそれを音として認識する。この音は空気を介することから、気導音と呼ばれている。

 一方、鼓膜を通さずに頭蓋骨などの骨を使って直接蝸牛に伝わるのが骨導音だ。人間の耳は、空気と骨の2つの経路を使う音を同時に聞いていることになる。カセットテープなどに録音した自分の声がいつもと違って聞こえるのは、骨導音がカットされているからである。

 骨伝導が携帯電話に取り入れられたのは、何も聴覚障害を持つ人のためばかりではない。骨伝導は空気ではなく骨を伝わるため、雑音が多い場所でも音が聞きとりやすいというメリットがある。商店街や駅のホームなど、周囲が騒がしい中で利用することの多い携帯電話に、マッチする技術でもあったのだ。

 また骨伝導には、空気の振動を必要としないため水中でも利用できるなどのメリットもある。現在では、骨伝導で音楽を楽しめる枕や、ヘルメットをしたままでも携帯電話の通話が行えるスピーカーなども商品化されている。

 ちなみに、電話の場合は相手の声を聞くだけでなく話す機能も必要だ。だから顔の近くから携帯電話のマイクを遠ざけるわけにはいかず、自然と耳の周囲の骨を利用することになる。

家庭用コードレスホンとして利用できる骨伝導電話機 TEL-KU2(図版:http://www.sanyo-mmt.com/joho/products/phone/tel-ku2/image/topimage.gifより)
骨伝導ケータイの聞こえ方(図版:http://www.tu-ka.co.jp/news/image/kotuden.jpgより)

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