隠れた人気PDA〜無線LAN+SDカードの「h4150」PDA Talk

» 2004年02月25日 19時29分 公開
[山田道夫,ITmedia]

 携帯電話のみならずPDAの世界でも、春の新製品が話題になっている。コンシューマーの注目はCLIEの新製品「PEG-TH55」(2月10日の記事参照)に集まっているようで、店によっては品切れが続くなど、好調な立ち上がりを見せている。売れ筋上位も色違いの2モデルが独占しているほどだ。

 PDAの中には、ベスト10には登場しない隠れた人気商品もある。例えば日本HPのiPAQ Pocket PCシリーズだ。Webの直販がメインのため、販売店を対象とした売れ筋ベスト10にはなかなか登場してこないのだ。

 そんな日本HPが満を持して投入したのが、無線LAN内蔵の「h4150」(1月29日の記事参照)。CF+SDのデュアルスロットを備えた「h2210」(2003年9月の記事参照)に比べて価格が高い上、CFカード型通信カードを使えないといった制約はあるが、動作が機敏で使い勝手もいい。

 ソフトは、Pocket WordやPocket Excelなどのほか、メモリの内容を自動的にバックアップしてくれる「iPAQ Backup」や画像の拡大、縮小、回転表示、スライドショーに対応した画像ソフト「iPAQ Image Zone」などがバンドルされる。

 スタイリッシュでバランスがいいデザインは、実際にはかなり小型だ。ただし写真で見た印象ではその小ささが十分に伝わりにくい
 h1927、h1937とはデザインの基本的な印象は似ているが、ボタンのクリック感が向上し、5Wayボタンも押しやすくなった
 バッテリーが着脱式なので、予備のバッテリーを持っていれば電池切れの心配がない

h4150の魅力

 h4150の魅力の一つはデザインのかっこよさ。好みもあるので一概にはいえないが、「h1920」「h1937」「h4150」と続く中でデザインがどんどん洗練されていった。特にボディ下部のカーブは絶妙。アプリケーションボタンや5Wayボタンの押しやすさ、持った感触も向上している。

 動作がキビキビしているのもいい。Windows CE用のベンチマークソフトBMQ Version 0.31の結果は、Itte. 1215、Float 108、Draw 300、Window 300、Memory 1255、Total 635だった。英語版のiPAQ Pocket PC h4350とほぼ同等で、h2210よりは遅い結果だ。もっとも、実際の画面の切り替えやプログラムの起動、リスタートの速度などは、h4150のほうが速い印象を受ける。CPUはh2210と同じXScale PXA255 400MHzだが、後発な分グラフィック周りを中心にチューニングされているようだ。

 ただし、CFカードスロットを備えていないことから通信面での制約はある。SD/IO対応で、Bluetoothと無線LANが内蔵されているとはいえ、Bluetoothや公衆無線LAN環境がまだそれほど整備されていない日本ではネットワークの利用には限界がある。SD/IOに対応したAirH"カード「AH-S101S」も発売されているが(2002年12月の記事参照)、このカードは128Kbpsのパケット通信には対応していない。

 またGPSカードを使う場合も、デュアルスロットならデータの保存に使えるSDカードスロットが埋まってしまうため、地図データを本体の64MバイトのRAMの中に保存しなければならない。例えばGPSの地図としても使える「Super Mapple Digital 4」は、山手線内の地図データだけで数十Mバイトになる。本体メモリにはよく使う場所だけを入れ、他はSDに入れて適宜入れ替えて使う──といった手間が必要になる。

 さらに液晶を下部から見た場合、薄茶色に見えてしまうのは「h1937」(2003年9月3日の記事参照)から変わっていないマイナス点だ。

 SDカード型のGPSユニット「SDGPS」は、測位までにかかる時間はCFカードよりも若干長い。しかしh4150本体が小さいので、ポケットに放り込んで持ち歩き、場所を確認したいときにさっと取り出して使う──といった用途には向いている(左)。SD/IOに対応したAirH" 「AH-S101S」を使えば定額でのデータ通信も可能(右)
 別売りのWebブラウザ「NetFront 3.1」は、h4150の狭いディスプレイに最適化された表示が可能。快適なWeb閲覧には必須(左)。MPEGオーディオプレイヤーの「GSPlayer」を使えばインターネットラジオを聴くことも。無線LAN内蔵のメリットの一つだ(右)
 GPSの地図としても使えるSuper Mapple Digital 4のインタフェース(左)。無線LANやBluetoothの設定はグラフィカルな表示で分かりやすい(右)

昔のPalmを思い出させる使い勝手

 いくつかの難点はあるものの、使っているうちにすっかりh4150に惚れ込んでしまった。普段使っているh2210に比べてわずかにスリムな分だけ、胸ポケットへの収まりもいい。

 また無線LANを内蔵しているので、会社や家庭に無線LAN環境が構築されていたり、行きつけの公衆無線LANスポットがあるならインターネットアクセスに問題はない。バッテリーが意外に持つので、Webブラウズやメールだけでなく、“Pocket PCでインターネットラジオを聞く”といった使い方もできる。

 32kbpsまでの速度でしか利用できないが、メールやニュースサイト中心に閲覧するならSDカード型PHSもけっこう使える。

 キビキビした動作、スタイリッシュなボディデザイン──h4150は、昔のPalmを思い出させるようなPDAだ。

  • h4150とh2210のスペック比較

   h4150h2210
サイズ71×14×114ミリ76×15×115ミリ
重さ約132グラム約144グラム
外部スロットSDカード(SD/IO)SDカード(SD/IO)、Type II CFカード
CPUXScale PXA255 400MHz
メモリRAM64Mバイト/ROM32Mバイト
通信Bluetooth version 1.1、IEEE 802.11bBluetooth version 1.1

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