作品名 | ニューオーリンズ・トライアル(RUNAWAY JURY) |
監督 | ゲイリー・フレダー |
制作年・製作国 | 2003年アメリカ作品 |
ニューオーリンズの証券会社で起こった銃乱射事件によって、夫の命を奪われたセレステは、凶器として使われた拳銃メーカー、ヴィックスバーグ社の責任を問う裁判を起こします。
セレステの弁護士は、いくつもの事件を人道的に解決してきたベテランのローア。一方、ヴィックスバーグ社は顧問弁護士の他に陪審員コンサルタントのフィッチを雇い、裁判に勝つため万全の体制で挑みます。フィッチは、陪審員に選ばれた人物の過去を徹底的に洗い出し、対策を練り、時には脅迫までして、自分たちが有利になるように裁判を進めていくのです。
ヴィックスバーグ社が殺人の凶器を作ったとその責任を負わされることになれば、たちまちアメリカ全土で訴訟が起こされ、多額の賠償金の支払う事態に。ヴィックスバーグ社、そして他の拳銃メーカーにとっても、この裁判は絶対負けられないものでした。
ヴィックスバーグ社からどんなことをしても勝てという指令を受け、フィッチは今回の裁判に選ばれた陪審員を一人一人調べていきます。元軍人、主婦、会社員に混じって、異色の存在として、ゲーム店員のニックがいました。そもそもニックは陪審員に選ばれたくなかったようで、裁判の最中も落ち着かない様子。しかし、シューティング・ゲームで嬉々としてモデルガンを放つ姿に、銃に肯定的な人物と見なしていました。
世論では、悲劇のヒロインとなったセレステの姿に同情が集り、セレステ側に有利な展開。ローアも銃の危険性を唱え、法廷をリードします。あせるフィッチ陣営は、陪審員の票を操作するしか方法はないと考えていました。
そこへ届けられた一通の封筒。中には『陪審員売ります』の文字がありました。この手紙は、ローア、フィッチ、両方に届けられ、値段を高く付けた方に票を売るというものでした。ローアは心情に反するとすぐに無視しましたが、フィッチにとっては喉から手が出るほど欲しいもの。さっそく、送り主とコンタクトを取ろうとします。
「値段を提示して」
女の声でフィッチのもとに電話がかかってきました。
「電話はだめだ」
「次の電話までに値段を決めて」
評決を売るという話が真実味を帯びてきて、フィッチは女の正体を突き止めようと躍起になります。それと同時に陪審員の協議に、不思議なことが起こり始めました。当初は、セレステ有利だった審議が、いつの間にかヴィックスバーグ社の側に立つ者が増えてきたのです。これはすべてフィッチの仕組んだ圧力によるものでした。
さらにセレステ側の重要な証人が直前になって、法廷での証言を拒否するという非常事態が訪れます。勝利を確信していたローアは目の前が真っ暗になり、ふと『陪審員売ります』の手紙を思い出します。ローアにとっても、これは絶対に負けられない裁判。ローアもまた、送り主との接触を試みるのでした。
陪審員の協議が進められる中、どうやら議題のリーダーシップを握っているのが、ニックであることをフィッチは突き止めます。ニックは、フィッチたちの手で拳銃メーカー側につかせた陪審員を巧みに説得していたのでした。
ニックは一体何者なのか? ニックのiPodに入っていた極秘情報とは? そして手紙の女との関係は……。評決をめぐって、携帯電話でのスピーディな取り引きが展開するクライマックス。金による裁判の勝利を手にするのは、はたしてどちらの陣営なのか。アメリカの拳銃問題、そして陪審員制度に焦点を当てた、スリリングな社会派作品です。
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