テレビとモバイルの連携──それぞれの思惑地デジ+モバイルが生み出す世界(1)(1/3 ページ)

» 2004年03月11日 22時02分 公開
[中村実里,ITmedia]

 2003年12月、東名阪地域で始まった地上デジタル放送(2003年12月の記事参照)。その他の主要都市でも、2006年までに順次エリアが拡大される予定だ。テレビのデジタル化という大プロジェクトが本格化する中、テレビと携帯電話の連携による新しい市場の開拓に乗り出す動きも見られる。

 2003年は、NECや三洋電機らが、地上デジタル放送受信に対応する携帯電話端末の試作機を公開(2003年8月の記事2003年7月の記事参照)。2005年末頃と予想される1セグメント放送の開始に向け(1月23日の記事参照)、メーカー側の検討や開発も進行している。

1セグメント放送とは

 日本の地上デジタル放送では、従来のアナログ放送1チャンネルにあたる6MHzの帯域を、13の「セグメント」に分割して運用するのが特徴。たとえば、12セグメントを利用して、高品質なHD放送を行ったり、4セグメントを利用するSD放送を、3番組提供したりするといった、柔軟な番組編成が可能になっている。

 13セグメントのうち、1セグメントは移動体放送向けに予約されている。これを利用して、携帯電話やPDAに簡易動画などを放送するのが「1セグメント放送」だ。

 一方のサービス提供側も、テレビと携帯電話をつなぐさまざまなソリューション開発に余念がない。インデックスやサイバードは赤外線通信を利用した「テレビ+携帯電話」の連携サービスを開発中。大日本印刷は、携帯電話のQRコード読み取り機能を利用した、テレビ連携サービスを提案する。

“テレビと携帯電話の融合”は、既に始まっている

 放送と携帯電話の連動については、いくつかのパターンがある。例えばその一つが、視聴者が放送中の番組に携帯電話を使って参加するパターン。2003年末にテレビ朝日で放送された「テスト・ザ・ネイション」は、これを取り入れたものだ。生放送番組で読み上げられる設問に視聴者がPCや携帯電話経由で回答すると、視聴者のIQが診断される。その結果を都道府県や性別、血液型別などで集計し番組内で発表するのだ。

 このような携帯電話からの番組参加を可能にするシステム「ナビチャン」を開発したのが、大手コンテンツプロバイダとして知られるインデックスだ。

 メディア開発室の山本ひろし室長は、テレビと携帯電話の連携について、「まずはアナログ放送で、サービスモデルやビジネスモデルを確立できることを目指す」と言う。現在のようなデジタル放送への移行期では、大多数のシェアを持つアナログ放送の視聴者をもカバーするサービスを展開し、テレビと携帯電話融合の方向性を模索しながら着実に収益を上げるビジネスを確立したい考えだ。

 インデックスの「ナビチャン」は、携帯電話上のアプリリモコンを使った仕組み。赤外線を使ったテレビのリモコンとして、常にテレビ視聴時に携帯電話を利用させるというものだ。その中で、番組により興味をもった視聴者は、ボタン一つで詳細情報を閲覧できるサイトへ飛べるようになっている。さらに放送されたテレビCMを検索できる機能も備えており、興味あるCMの詳細情報を携帯電話で追いかけることができる。

 「携帯電話はテレビの情報を補完するツールとなり、かつ、テレビ画面を占有して番組のイメージを損なうこともない」(山本氏)。

 サイトにアクセスする際には、例えば何チャンネルを見ていた時に、どのキャンペーンサイトのリクエストがあったのかという、アプリリモコンに蓄積された情報も合わせてサーバに送信される。この情報に基づいて、関係各社へ収益をフィードバックすることも考えられ、これにより、新しいビジネスモデルを提案できるという。

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