DSRC(Dedicated Short Range Communication)は、ETCなどに用いられている双方向無線通信技術のこと。狭域通信、もしくは専用狭域通信と呼ばれ、通信できる距離は数メートル〜数百メートルと短いが、利用可能範囲をあえて狭くすることで、特定のスポット内での高速な通信(4Mbps程度)を実現する。
ETCでは5.8GHz帯によるアクティブ方式DSRCが使われており、路側機と車載器の間での通信が行われている。このとき、電波の届く距離が長いと、ゲートを通過する車以外の車載機の電波をキャッチしてしまい、正しい課金ができなくなる。つまりDSRCは1台1台の車と確実に交信するために必要な技術であるといえる。
ETC以外の用途として、ガソリンスタンドや駐車場などでの決済、および物流管理などに利用するRVC(Road to Vehicle Communication:路車間通信)システムや、周辺走行車両との情報を通信しあうIVC(Inter-Vehicle Communication:車々間通信)システムなどがある。こうした一連のシステムを、スマートゲートウェイと呼ぶ。これはスマートウェイとスマートカーで構成されるITSネットワークである。
スマートゲートウェイ構想には、DSRCによるインターネット接続も含まれており、交通情報や地図情報、音楽配信のサービスが検討されている。2004年1月には警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省をオブザーバーとして、関連会社約190社が参加する「DSRC普及促進検討会」が設立された。同会ではDSRC応用サービスに対応した車載器の規格統一も検討していくという。
ETCの仕組み(図版:http://www.hido.or.jp/ITS/IiI/p9_2.gifより)
DSRCを用いた多様なサービスのイメージ(図版:http://www.its.go.jp/ITS/j-html/2002HBook/section3/gif/3-1-1.gifより)
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