KDDIは4月28日、2003年度の決算を発表した。年間純増シェアではドコモを抜いて49.6%を達成するなど(4月7日の記事参照)、au携帯電話の好調を背景に増収増益。2004年度も、純増220万契約(予想純増シェア47.8%)を見込み、中長期的には累計シェア30%を目指す。
「年間を通して好調持続」と小野寺正社長が話すように、2年連続で過去最高益を更新。売上高は2兆8460億9700万円(前年比2.2%増)、経常利益は2745億4700万円(前年比142.5%)となった。
au事業を大きな柱として、2005年も増収増益の計画。売上は2兆9820億円(1359億円増)、営業利益は3200億円(279億円増)を目指す。うち、au事業のみで1819億円の増収、395億円の増益を計画している。
2004年度は、携帯電話市場の契約者数の伸びを460万と予測する中、純増シェア47.8%に当たる220万契約の契約を見込む。
「(ドコモの)3月の純増数を見ても、あれだけ宣伝して自社内の機種変更だけ。KDDIのユーザーがFOMAに移っているわけではない」と、小野寺氏は対ドコモ戦略も自信を見せた。
ドコモが6月に導入するFOMAのパケット定額制(3月24日の記事参照)に対しても、「音声をいっぱい使ってデータもいっぱい使うユーザーにしかメリットがない。今の時点でFOMAがWINや1Xのユーザーを取るという状況ではない」とした。
トータルのARPU(ユーザー当たり月間収入)は、2003年度平均で7440円。音声ARPUは減少傾向だが、データARPU増が補っている。2004年度は300円減の7140円を見込み、データARPUは1640円から1800円に増加させる計画。
背景には2003年11月に開始したパケット定額制サービス1X WINの好調がある(3月18日の記事参照)。2004年3月末時点で34万3000契約を獲得しており、うちパケット定額制「EZフラット」の契約率は87%。2004年度末には、これを300万契約まで持っていく計画だ。
定額制導入によって懸念されたデータARPUも、順調に推移。WINに機種変更したユーザーの過去のデータARPUを見ると、「4500円未満のユーザーが49%」(小野寺氏)。結果、WINのデータARPUは4550円と高水準にある。
1X WINの定額制サービスについては、3つの柱を立ててビジネス領域の拡大を目指す。
「コンテンツの利用拡大」では、WINの特徴を生かした音楽・動画などのリッチコンテンツやネットワークゲームなど。「ECビジネス」では物販提供や決済、リアル決済との連携を挙げた。「メディアビジネス」の部分は、EZチャンネルを軸とした放送型コンテンツの提供、FM局/地上波テレビ局とも連携した新ビジネスモデルの構築、光プラスTVやDIONなど固定系サービスとの連携を進めていく。
なお、ツーカー事業に関しては、20代の利用者が減少し代わりに60代の利用者が増加している背景から、「シニアをターゲットとした商品を投入」(小野寺氏)と戦略を説明した。
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