画像編集機能は「SH505iS」(2003年12月の記事参照)などと同様、強力だ。QVGAディスプレイを生かして加工前、加工後を二分割された画面で確認しながら作業できる。先に加工機能を選ぶのも分かりやすい。
サムネイル表示は高速。表示はディスプレイに全体が収まるサイズから等倍サイズまで複数の表示サイズに対応している。拡大表示も可能で、高解像度で撮影した画像の細部も確認できる。拡大表示時のスクロールも軽快とまではいえないが、携帯としては高速なほうだ。
リサイズ機能は画像全体をリサイズする以外に、任意の拡大表示から一部を切り出すトリミング機能も用意される。切り出すサイズは画面表示に対するもので、拡大表示の倍率が違えば切り出せる面積も異なる。
気になるのは画像表示にかかる時間だ。一覧から表示を実行した場合、高解像度の画像では数秒かかり、480×640程度でも少し待たされる。ほかの動作が軽快なだけに、気になる部分だ。
2メガピクセルのカメラと共に、特徴として挙げられるのが「ドキュメントビューワ」機能。「sigmarion III」(2003年4月の記事参照)や「CLIE」(2月10日の記事参照)などへの搭載で知られる「Pixel Viewer」が搭載されている。miniSDカードに保存したPDFファイル、Word、Excel、PowerPointファイルや、JPEG、PNG、GIF、BMPなどメジャーなフォーマットの静止画ファイル、テキストファイルを携帯電話で閲覧できる。
ドキュメントビューワの動作は、携帯電話とは思えないほど軽快に動作する。拡大や縮小もほぼ瞬時に行われ、スクロールも移動を優先することで(連続スクロール中は描画をある程度省略)実用的な速度を確保している。たしかにQVGAの画面では一度に閲覧できる情報量に限界があるが、自由度の高い拡大縮小表示や軽快な動作がそれをカバーしている。
皮肉なことに、撮影した画像の表示もドキュメントビューワの方が軽快だ。もちろんドキュメントビューワではメール送信したり、左右キーで連続表示したりといった操作はできないが、表示にかかる時間は圧倒的に短く、拡大縮小表示も行える。サムネイル表示が遅いという難点もあるが、ドキュメントビューワを画像ビューワとして使うのも1つの手だ。
ドキュメントビューワは閲覧しているファイルを、240×320のディスプレイサイズの画像として切り出すこともでき、メール添付して送信もできる。PDFファイルの会社案内から地図だけを切り取ってメールする──といった使い方も可能だ。
ただファイルを携帯電話に移す際、基本的にはPCでminiSDカードに書き込む必要があるのは少々煩わしい。パケット料金などとの兼ね合いもあるが、例えばPCにメールで届いたPDFやWord形式の書類を、そのままSH900iに転送できれば便利だ。
もちろん現状のiモードメールは添付可能なファイルが制限されている上、受信は最大10Kバイトという制限があり、パケット料金を無視したとしてもPDFやWord形式のファイルは受信できない。
パケット定額制の「パケ・ホーダイ」の導入、パケットパックの値下げもあり、FOMAで100Kバイト単位のデータを送受信するのが特別なことではなくなろうとしている。端末側の機能を生かすためにも、iモードメールの最大受信容量10Kバイトという制限は、そろそろ撤廃してほしい。そうなればドキュメントビューワの魅力もさらに増すだろう。
二度のレビューを通して印象に残ったのは、端末操作の軽快感。シャープ端末の伝統ともいえる軽快な動作が、多機能なSH900iでもしっかりと継承されている。900iシリーズはおしなべて多機能なこともあり、操作に対するレスポンスの悪さを感じる端末もあるが、SH900iはそれを感じさせない。それゆえ、画像表示の遅さは違和感を感じる部分だ。
ドキュメントビューワも魅力的な機能だが、例えば「N900i」(1月27日の記事参照)のようにPCとUSB接続することでminiSDカードがストレージとして認識されれば、miniSDカードの差し忘れといったうっかりミスを防げる上、使い勝手は向上するはずだ。また「F2102V」(2003年6月の記事参照)のように、充電台経由でUSB接続に対応し、充電とPC接続を同時に行えるようになるとさらに便利だ。
こうしたPCとの連携が可能になれば、データビューワだけでなくメールやアドレス帳などのデータ交換機能も本格的に使う気になる。今後の製品で、ぜひ検討してほしい部分だ。
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