作品名 | 21グラム(21Grams) |
監督 | アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ |
制作年・製作国 | 2003年アメリカ作品 |
クリスティーナは、夫マイケルとかわいい娘二人と仲良く暮らしていました。ドラッグに依存していた過去から立ち直り、家族の愛に包まれて幸せな日々。しかし、その安らぎを壊す悲しい事件がクリスティーナを襲います。夫と娘たちが交通事故に遭い、突然亡くなってしまったのです。病院に駆けつけた時には、すでに手の施しようのない状態だったマイケル。取り乱しながらもクリスティーナは臓器移植の同意書にサインをしたのです。
マイケルの心臓を移植することになったのが、大学教授のポールでした。余命数カ月と診断され、後は死を待つばかりで自暴自棄になっていたポールに朗報が届いたのです。献身的に看病してきた妻メアリーとともに、ポールは手術に挑みました。大手術の後、命をとりとめたポールは、メアリーとの間に越えられない壁があることに気付きます。メアリーには感謝していますが、そこにはもう愛はなかったのです。
ポールは、自分に心臓を提供してきたのが誰なのか突き止めようとします。そして、自分がクリスティーナの夫マイケルの心臓を移植されたことを知ります。ポールはクリスティーナの居所を探し、遠くから見つめ始めます。家族を失い、うつろな瞳のクリスティーナにやがて惹き付けられていくポール。クリスティーナの通うスポーツジムにしばしば足を運び、顔なじみになろうとしました。心臓移植のことは隠したままで。
家族の死後、クリスティーナは1人で住むには広すぎる家で、再びドラッグに浸るようになっていました。クリスティーナの携帯電話には、交通事故の直前にマイケルが吹き込んだメッセージが今も残っていました。
「帰る途中だ、何か買って行こうか」
明るいマイケルの声と、遠くで聞こえている娘たちの笑い声。クリスティーナは何度も繰り返し、このメッセージを聞いては泣き崩れていました。そんなクリスティーナの前に突然現われたポール。スポーツジムで顔を合わせ、何度か街で出会い、そのたび優しくふるまうポールにほんの少しずつ、脆くなってしまった感情が溢れ出さないよう慎重に、クリスティーナは心を許していきました。
「携帯の番号を教えておこう」
ポールからメモを渡されたクリスティーナ。寂しさに耐え切れず、真夜中に電話をかけてしまいます。
「ポール?」
「誰?」
妻メアリーの近くで眠っていたポール。
「クリスティーナよ。起こしちゃった?」
「構わないよ」
「家に来てくれる?」
「どうした?」
「ただ……できれば来てほしいの」
「すぐ行くよ」
不機嫌なメアリーを無視して、ポールはクリスティーナに会いにいってしまいます。クリスティーナを放っておけないポール──それは真実の愛なのでしょうか。そして、ポールに夫の心臓が移植されていると知ったとき、クリスティーナはまた傷ついてしまうのでしょうか。
ポールとクリスティーナに、交通事故を起こしたジャックの人生までが絡み合い、物語は加速していきます。命が消えた瞬間に、人の体が失うという21グラム。この21グラムには、何が込められているのでしょう。
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