閉じたままでどこまで利用できるか──。SO506iCがソフトウェア面でこだわった点の1つがこれだ。
「開けなくても何でもできる端末にしよう。片手だけで何でもできるように」(志手氏)
文字入力のしにくさは、折りたたみ型に比べて回転型液晶が不便な点として多くのユーザーが挙げる。折りたたみ型ではそもそも開かなければディスプレイも見られないのだが、せっかく液晶が表にある回転型端末だけに、閉じたままの文字入力に対する要求は高かった。
ソニー・エリクソンの開発陣は「POBoxとの連携で力を引き出す」(P&I部門 ソフトウェア開発部 第5チーム 松澤剛氏)方向で、入力方法を組み上げた。同社製端末のもう一つの特徴は、1文字入力するだけで予測候補が表示されるPOBoxの搭載だ(2002年12月12日の記事参照)。閉じたままの文字入力では、数多くの文字を入力するのは難しいが、POBoxとの組み合わせで数文字入力するだけで文章が入力できる。「頻繁に入力する単語はPOBoxに入っている。何十文字も入力することは想定していない」(BU PDC&IMT 第1ソフトウェア開発部 第5チーム 近藤和弘氏)。
回転型の端末にとって、「閉じたままでの文字入力」は今後必須ともいえるだろう。例えばiモード閲覧時などにパスワード入力を求められるシーンだ。これまでは「0000」と入力するためだけに液晶を回転させて持ち替えなくてはならなかった。SO506iCでは、0を4回入力するのは閉じたままでも簡単だ。
FeliCa機能のほかにもう1つ、SO506iCが力を入れたのが音楽再生機能だ。ドコモ向け端末では唯一ソニー・エリクソン製端末だけが備えている機能で、PCで保存している音楽ファイルをメモリースティックDuoにコピー(チェックアウト)して、携帯で音楽を聴くことができる。
SO505iSで搭載したこの機能だが、iモード閲覧中やメール作成中には再生できないという弱点があった(1月8日の記事参照)。SO506iCでは、各所でバックグラウンド再生が可能になっている。
音楽の再生も簡単だ。側面のカメラボタンは長押しでカメラ起動、短押しでミュージックプレーヤーが起動するようになっている。音楽を再生し、もう一度カメラボタンを押せば、再生は続いたまま、待受画面に戻る。
バックグラウンド再生への要望は高かったものの、なかなか機能搭載が難しかった。さまざまなシーンで電話の着信など割り込みが入る携帯電話では、違和感のないユーザーインタフェースの作り込みと試験に課題があったからだ。SO506iCではギリギリまで可否が議論されたが、担当者の熱意で搭載に至ったのだという。
SO506iCで音楽再生が止まるのは、電話着信時、iアプリやカメラを起動したときなど、一部の動作に限られる。メール着信時は、音楽が一時ミュートとなり、メール着信音が流れ、再び音楽再生に復帰する。メールの閲覧中はもちろん音楽がバックグラウンドで流れている。
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