日本では、毎年“今年こそ”といわれながら、普及の兆しが見えてこなかったBluetooth(2003年1月の記事参照)。2004年も終わりに近づいた今、ようやく“Bluetooth元年”の気配が見え始めた。
アジアを「Bluetoothテクノロジーの重要な市場」と位置づけるBluetooth SIGは、アジア太平洋地域を担当するオフィスを香港に開設すると発表。マーケティング・プログラムマネジャーのエリック・シュナイダー氏をシニアマーケティングマネージャーに据え、アジア諸国のメンバー企業のサポートやブランディング、アジアに特化したマーケティング活動を行う。
オフィス開設に伴って、マーケティング・ディレクターのアンダース・エドランド氏とマーケティング・プログラムマネジャーのエリック・シュナイダー氏、エグゼクティブ・ディレクターのマイク・フォーリー氏が来日。日本のBluetooth市場の現状や課題、アジア地域への期待について話した。
シュナイダー氏は、この6カ月に認定を受けたBluetooth機器290製品のうち、54製品が日本製品であることを例に挙げ「全体のおよそ2割がこの6カ月間に日本から上がってきている。Bluetoothの市場で、日本はかなり強力なプレイヤー」だと期待を寄せる。
背景にあるのは、日本のBluetooth市場を牽引するといわれてきた、携帯電話や自動車への搭載が見えてきたことだ。Bluetoothを搭載した携帯電話は、ソニー製の「C413S」以来、約3年ぶりに「A5504T」(5月14日の記事参照)が登場。6月にはドコモが「F900iT」を発売、9月にはボーダフォンがBluetoothを装備した3G端末4機種を発表するなど(9月22日の記事参照)、主要キャリアが次々と対応端末をリリースした。
Bluetoothを採用した携帯電話が市場に出回ることでユーザーに浸透するとシュナイダー氏は見ている。「ダイヤルアップ通信やイメージング、自動車のハンズフリーなどから用途が広がる。高画素の携帯も出てきており、撮った写真のプリント用途も期待できる」(シュナイダー氏)。
11月から施行される改正道交法も普及を後押し(6月8日の記事参照)。施行日のアナウンス以降、Bluetoothヘッドセットをリリースするメーカーも出始めた。
今後のBluetooth製品で同氏が期待するのは、音楽やゲーム機器。「高品質なオーディオストリーミングに対応する機器が出てくれば、ワイヤレスヘッドホンやスピーカーの需要が再認識されるのではないか。ゲームもピア・ツー・ピアでもいいし、別のデバイス間で通信するのもいい。来年には日本のBluetooth製品リストに、オーディオヘッドフォンや音楽デバイス、ゲーム機も含まれてくるだろう」(同)。
同氏は、2003年には17%にとどまったアジア向けBluetooth機器の出荷台数が、2008年には30%まで伸びると予測するIMSリサーチのデータを挙げ、アジア地域でのBluetooth市場の拡大に自信を見せる。
「(アジアオフィスの開設で)メンバー企業と、より多くのコミュニケーションを図れるようになる。それぞれの地域においても、もっと私たちの方からメッセージを発信していくことで出荷台数は伸ばせると考えている」(同)。
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