アナログTVで先行、1セグで遅れるボーダフォンの真意地デジ+モバイルが生み出す世界(最終回)(1/2 ページ)

» 2004年10月12日 15時16分 公開
[中村実里,ITmedia]

 「ほかのキャリアに先駆けてテレビ機能に対応することで、ユーザーに『テレビといえばボーダフォン』という意識づけを行いたかった」―――。

 1セグ放送の開始を控え、なぜあえてアナログTVチューナーを搭載した携帯を市場に投入したのかという疑問に、ボーダフォン プロダクトマネジメント本部 ターミナルマネジメント部 課長代理の横田知氏はこう答える。ボーダフォンにとってアナログTV携帯の投入は、これから始まる1セグ放送をも見据えた布石でもあった。

 ユーザーアンケートの結果では、携帯の新機能としてテレビチューナー搭載を希望する声が、だいぶ以前から常に上位に挙がっていた。大型化かつ高精細化する携帯の液晶ディスプレイで、テレビ放送を視聴したいと望むのはごく自然な要求。同社では、いつかそのユーザーらの願いをかたちにしたいと考えていたという。

“オマケ”機能としてテレビのニーズがある

 昨年12月にリリースされた、日本初となるアナログテレビチューナー搭載ケータイ「V601N」(7月26日の記事参照)の企画開発をNECとボーダフォンが共同でスタートしたのは、リリースから1年ほど前のことだった。

 携帯へテレビを搭載するには、消費電力や端末サイズなどの懸念事項があった。しかし、この時期にようやく1時間程度の視聴時間が実現可能に。切手サイズのテレビチューナーモジュールも登場して、端末サイズも許容範囲内に収まる見込みがついた。ボーダフォンはユーザーの要求に近づける端末を製品化したいという気持ちを改めて強くしながら、正式に開発スタートの号令をかけた。

 アンケート調査で、特にテレビケータイの要求が高かったのが、男性ビジネスマン。移動中などの隙間時間を利用して、ニュースなどを見たいという声が多かった。このような調査結果を踏まえ、V601Nの端末デザインやカラーについては、比較的男性に好まれやすいようなシックなものが用意された。

Photo アナログチューナー搭載「V601N」
消えた「キャプチャ画像の待ち受け設定」機能

 V601Nでは、テレビの映像をキャプチャして待受画面にできる機能、あらかじめ登録したテレビ局のサイトへ簡単にアクセスできる機能など、テレビケータイならではの機能が用意された。「ライン入力ケーブル」が標準セットに含まれているのは、ケータイテレビの中でもV601Nのみ。市販の同軸ケーブルと組み合わせて家庭用アンテナ端子と接続すれば、クリアな映像で視聴できる。

 テレビケータイ第2弾となる「V401T」では、テレビ視聴のみならず、FMラジオも聴けるようになった。テレビ番組のお気に入りシーンを保存できる「録画機能」では、最長12分の録画が可能。静止画で保存する「キャプチャー機能」も継承されたが、キャプチャした画像を待受画面にする機能は削除された。著作権保護の観点から、ボーダフォンが自主規制したようだ。


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