CODE46「ウィリアムだ。元気かい?」Mobile&Movie 第134回

» 2004年10月22日 16時53分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名CODE46(CODE46)
監督マイケル・ウィンターボトム
制作年・製作国2003年イギリス作品

 数百年、いえ数十年先の近未来、そこは環境破壊が進み、住居空間は厳格に管理される世界。オゾン層が破壊され、都市生活者は昼間日光を浴びることを禁じられていました。こうしたさまざまなルールによって安全が保証されている都市部と、環境汚染によって砂漠化し無法地帯となった外側の世界は、隔離されていました。都市間を移動するには、パペルという滞在許可証が必要とされ、その発行基準は非常に厳しいものでした。

 ある時、上海スフィンクス社のパペル発行工場で、パペルの偽造事件が発生します。ウィリアムは、シアトルから上海へ向かい、違法パペルに関わっている社員の追及に当たります。ウィリアムが上海滞在に許されたパペルの有効期限は24時間。ウィリアムは、相手の感情を読むことができる共鳴ウィルスの服用を許されていました。

 ウィリアムは容疑者すべてと接見し、24時間以内に犯人を探し出すつもりでした。何人かと面接を行い、ウィリアムはスフィンクス社の入口で見かけた美しい女性、マリアに再会します。マリアの心を読み、マリアが犯人であることがわかったウィリアムでしたが、とっさにマリアをかばい、別の人が犯人だと会社に告げてしまいます。

 仕事を終え帰社するマリアを食事に誘うウィリアム。これまで真面目に仕事をこなしてきたウィリアムでしたが、会社を裏切り、またシアトルに残した家族をも忘れ、何も知らないマリアに惹かれていきます。マリアに案内されたナイトクラブで、ウィリアムは違法パペルを手渡す現場を見せつけられます。まるで、ウィリアムがマリアをかばったことを悟られているよう。マリアは、パペルの発行申請を何年も繰り返し、拒否され続けている人々に違法パペルを渡していると言います。ルールを犯してまで、安全な都市を飛び出し、危険な外の世界で、夢を追いかけている人々に共感しているのだと。

 ルールを破ることなどまったく考えずに生きてきたウィリアムにとって、マリアは特別な存在に思えました。偶然にも今夜はマリアの誕生日の夜。マリアもウィリアムに出会えたことが運命のような気がしていました。そしてマリアの部屋で、朝を迎えたウィリアム。しかし“一晩だけの関係だったのだ”と自分に言い聞かせ、家族が待つシアトルに戻ったのです。

 その直後、ふたたび偽造パペルの事件が発生します。ウィリアムの目の前で、マリアがパペルを渡したデミアンが死亡したというのです。デミアンが持っていたのが違法パペルと分かり、その入手ルートを捜査することになったのです。マリアを忘れ、家族との生活に戻るつもりだったウィリアムは上海行きを断ろうとしましたが、会社の命令で再度旅立つことに。

「ウィリアムだ。元気かい?」

 携帯電話から、思わずマリアに連絡してしまうウィリアム。留守電のメッセージを告げるマリアの映像に話しかけます。ウィリアムは再び、マリアへの思いを募らせていくのでした。もう一度会いたいと探し回りますが、職場にも自宅にもマリアはいません。やがて、マリアが外部の病院に入院していることを知り、職務も忘れて会いに行きます。そこでウィリアムは、マリアが“CODE46”違反を犯し、記憶を消去されていることを聞かされます。つまり、マリアはウィリアムと愛し合った記憶を全て、消されていたのです。呆然とするウィリアム。マリアは、ウィリアムとの愛の記憶を再び、蘇らせることができるのでしょうか? そしてこの禁じられた愛の結末は?

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