タワーレコードとドワンゴの携帯サイト、その狙いは

» 2004年11月10日 22時44分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 リアルとモバイルの連携による相乗効果で、音楽業界の活性化を──。そんなコンセプトから生まれたのが、携帯サイトの「タワレコミックス」だ。

 11月11日に、着メロサイト「いろメロミックス」内に3キャリア対応でオープン。コンテンツの柱となるのは、タワーレコードで扱うCDやDVDの物販を行う「サイトミックス」、着メロユーザーをリアル店舗に誘導するためのプロモーション企画を担う「ショップミックス」、新人アーティストを紹介する「アーティストミックス」の3つだ。

 “携帯電話のメディア化”をテーマに、着メロサイト「いろメロミックス」を運営、後発ながら430万人もの会員を擁するドワンゴと(6月27日の記事参照)、大手レコード販売店のタワーレコード、タワーレコードのネット事業を手がけるNMNLの3社による共同プロジェクト。それぞれの強みを生かしたコンテンツを揃え、音楽情報発信の新しい形を提案する。

 「タワレコミックス」オープンの発表会に、タワーレコードの森脇明夫社長とドワンゴの小林宏社長、NMNLの伏谷博之社長ら関係者が登場。異業種連携プロジェクトに寄せる期待を話した。

 タワーレコードの森脇明夫社長(左)とドワンゴの小林宏社長


 NMNLの伏谷博之社長(左)とドワンゴの帽田基資執行役員


来店促進策の第1弾は「チキンライス」の着うたプレゼント

 「タワレコミックス」のタワーレコード来店促進策の第1弾は、浜田雅功と槇原敬之の「チキンライス」の着うたプレゼント。11月17日発売のこのCDを、タワーレコードの店頭で購入すると、着うた(非対応端末は着メロ)がプレゼントされる。

 プレゼントの着うたは、いろメロミックスで配信されるものとはバージョンが異なる。着メロもオルゴールバージョンを用意するなど、プレミア性を持たせた。

 こうした来店促進企画は「月一ペースくらいで新しい企画を出していきたい」とNMNLの伏谷博之社長。

協業で、それぞれの課題をクリア

 タワーレコード、ドワンゴとも、それぞれが抱える課題をタワレコミックスでクリアし、事業の成長につなげたい考え。タワーレコードはブランド力や、ショップスタッフの幅広い音楽知識を、ドワンゴは獲得したユーザーをつなぎ止める企画力を新サイトに投入する。

 「10代から20代の若年層に情報発信しているという点でタワーレコードとドワンゴは同じ」と、ドワンゴの小林社長。接点となるサイトをオープンすることで、現状ではずれがある客層を補完しあえると見る。

 この2つをつなぐ役割を担うのが、NMNL。DVD、着メロ、着うたなど多様化する音楽提供手段に柔軟に対応するため、タワーレコードのマーケティング本部スタッフを中心に立ち上げられた会社だ。タワーレコードのブランディングやインターネット経由の物販、新人アーティストの発掘を手がけており、3〜5名がタワレコミックスの運営にかかわる。

 NMNLの伏谷博之社長は「(携帯電話で音楽関連製品を販売する)TOWER MOBILEは2002年11月のオープン以来、倍々レベルで売り上げを伸ばしている。携帯電話経由のCD販売は、インターネット販売の20%を占めるようになった」と、携帯電話ユーザーの潜在需要に期待を寄せる。

 「ドワンゴが抱える430万人の会員の中で、もっと音楽を楽しみたい人にアピールしたい。10代〜20代が多い携帯世代ユーザーの来店促進にもつなげたい」と話すのは、新規ユーザー層の開拓や店舗への来店促進を目指すタワーレコードの森脇明夫社長だ。

 ドワンゴは、これまでの“携帯電話のメディア化戦略”を、リアルと連携させるのが狙い。アレンジやメドレー、プレゼントなどの“遊べる着メロ機能”やアーティストの着ボイスなどをいち早く投入し(2002年8月の記事参照)、「解約させない着メロサイト」運営で成長した同社は(9月9日の記事参照)、簡単にタワーレコードの商品を買える利便性や、充実したリコメンド情報を抵抗することで、顧客満足度を向上させたいとしている。

 なお小林社長はリアル連携の別の形も模索していると話す。「“目的はないけど毎日アクセスする”という、生活密着型コンテンツを目指す。携帯を自宅のリモコンとして使えるようにして、それに合わせて情報発信する──といったサービスも検討中」(ドワンゴの小林宏社長)。

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