モバイル&固定融合を最初に行うのはソフトバンク?〜Nortel3G World Congress & Exhibition 2004

» 2004年11月17日 03時03分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 世界のモバイル市場はいま、移動体と固定網を融合した「モバイルコンバージェンス」サービスや、3Gネットワークといった新たなネットワーク・システムの普及拡大期に入っている。

 キャリアグレードのネットワーク製品を多く手がけるNortel Networksに、今後のモバイル業界を展望してもらった。話を聞いたのは、Nortel AsiaのVice President マイク・マーフィー氏と、ノーテルネットワークスのワイヤレスビジネスデベロップメント事業部長、エマニュエル・ソーケ氏だ。

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Photo 上から、マイク・マーフィー氏、エマニュエル・ソーケ氏

ITmedia Nortel Networksの事業概要を、簡単に説明してください。

マーフィー Nortelは、GPRSCDMA 2000(1x EV-DO)UMTSという3種類の次世代ワイヤレス技術をすべて提供する唯一のベンダーだ。CDMAのマーケットでは米VerizonやChina Unicom、GSMでは独T-mobile(GPRS&EDGE)、UMTSではVodafone Spainや仏Orangeなどの採用例がある。

ITmedia 日本のキャリアでは、まだ採用例がないようです。

マーフィー 我々は北米で事業を開始し(Nortel本社はカナダのオンタリオ州)、ヨーロッパ、中国、オーストラリアと事業を拡大してきた。

 日本で採用されていないのは単にタイミングの問題で、我々がHSDPAの技術を開発していることを考えれば、(NTTドコモなどに)採用のチャンスはあると思っている。ソフトバンクのような新しいワイヤレス企業が、今後参入してくることもチャンスになる。

ITmedia ソフトバンクのワイヤレス事業に、興味を持っていると。

マーフィー 孫サンの構築しようとしているサービスは興味深い。多様なサービスを1種類の支払いで可能にするもので、ちょうど米国のCATV事業者がデータ通信サービス、通話サービス、TVサービスを提供しているのに似ている。

ソーケ 孫サンのやろうとしていることは、適切な料金のモバイルサービスだ。私は日本の携帯と香港の携帯を持っているが、香港の携帯のほうがはるかに料金が安い。

ITmedia ソフトバンクもそうですが、コアネットワークをIP化して、そこにモバイルと固定網のサービスを融合させる、いわゆる“モバイルコンバージェンス”を志向するキャリアが増えつつあります。

マーフィー パケットベースのCo-Network(共通ネットワーク)は、いろいろと言われているがまだスタートしていない段階だ。技術的には可能であり、次のステップだと思うが……。無線のSIPコールサーバと有線のSIPコールサーバの仕様が異なるなど、問題はある。ただこれは時間が解決するだろう。

 いつとは明確に言えないが、数年後には各オペレータがモバイルコンバージェンスのプラットフォームに移行すると思う。Nortelがワイヤレス部門と有線部門を統合したのも、こうした動きに対応するためだ(*編集部注:Nortelは10月から、ワイヤレス部門と固定網部門を統合した新体制を発足している)。

ソーケ このような新ネットワークを構築するには、ゼロから作るほうが早い。ソフトバンクが、最初のモバイルコンバージェンス事業者になる可能性もあるだろう。

次世代ネットワークへの移行はスムーズか?

ITmedia 世界の3Gネットワークの動向についても教えてください。NortelはGSMとUMTSのデュアルバンド基地局をリリースする予定ですが(11月17日の記事参照)、これはGSMのような現行ネットワークから、UMTSのような次世代ネットワークへ移行するための“過渡期的製品”に映ります。ある種、次世代サービスへの移行が遅れている証拠にも思えますが。

マーフィー UMTSの普及には、2つの問題がある。1つは端末コストで、GSMなどの端末に比べるとまだ高い。もう1つは周波数の問題で、UMTS向けの帯域は2.1GHz帯などに限られているのが現状だ。もっとも、韓国、オーストラリア、シンガポール、マレーシアなどでは政府主導で周波数見直しの動きもある。

ITmedia それらの国では移行が進むと?

マーフィー ただ、NortelのCDMA製品を採用している豪Telstraを例にとってみても、多くのGSMユーザーを抱えている。これをすべてUMTSに移行するには「帯域も足りない、端末もない」という状況なので、時間がかかるだろう。

 日本はアドバンスドマーケットであり、3Gネットワークに移行しつつあるが、それでもかなりの時間を要した。日本以外の国では、さらに時間が必要だろう。

ITmedia 日本市場への抱負を聞かせてください。

ソーケ メッセージとしては、Nortelは日本市場に強くコミットメントしていくということ。それから、VoIPコンバージェンス・ネットワークででリーダーシップをとるということだ。

ITmedia 日本でどれくらいシェアをとるか、目標は?

マーフィー&ソーケ 100%だ。

(文中敬称略)

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