10月13日、KDDIはau携帯電話サービスの冬商戦モデル5機種とともに、新たなリッチコンテンツサービス「着うたフル」を発表した(10月13日の記事参照)。auコンテンツメディア部門戦略を率いる、KDDI執行役員コンテンツ・メディア本部長の高橋 誠氏へのインタビューをもとに、着うたフルの勝算を分析する。
着うたフルの特徴は、フルサイズの音楽コンテンツを携帯電話だけでダウンロード購入し、そのまま聴けること。海外で成功したアップルコンピューターの「iTunes Music Store」や、国内で始まっているレーベルゲートの「mora」では、PCでダウンロード購入し、それをポータブル音楽プレーヤーに“転送”する。それらに対して、着うたフルは携帯電話だけでサービスが完結しているのがセールスポイントだ。
音質面では、最新の音楽圧縮コーデック「HE-AAC(High Efficiency AAC)」(aacPlusを採用。1曲あたり1.5Mバイト程度の容量に収まることを想定して、ビットレートは48Kbpsとしている。
また着うたフルの開始に合わせて、総合音楽コンテンツポータル「EZ MUSIC!」がオープン。着うたフル楽曲の検索サービスや、各種イベント案内、そして音楽CDの販売までをシームレスに提供している。
着うたフルの特徴であり、ほかの音楽配信サービスとの大きな違いは、“すでに成功している携帯電話のコンテンツビジネスに新たに加わったサービス”であることだ。音楽分野だけ見ても、「着信メロディ」や「着うた」サービスがすでに存在している。特に既存の着うたサービスとの棲み分けがどうなるかは興味深いポイントだ。
「着信メロディについてはすでに一定の市場がありますので、着うたフルの影響はあまりないでしょう。一方、着うた対応端末はauだけで1000万台以上が出荷されています。最終的にはレコード会社などコンテンツホルダーの考えになりますが、当面は着うたと着うたフルの両方で楽曲が提供される形になります」(高橋氏)
着うたフルには、コンテンツホルダーがあらかじめ設定したパートを「着うた」として切り出し、通話やメールの着信音に設定できる機能がある。そのためイメージとしては、着うたの上位サービスになるのが着うたフルであり、後者が前者を包含するような形での展開を考えているという。CDMA 1X WINの普及が進み、着うたフルの楽曲が豊富に提供される一方で、その提供価格がこなれてくれば「理想的には置き換わってもいい仕組みにはなっている」(高橋氏)が、それは今ではないようだ。
KDDIが着うたフルに期待する“効果”は大きく2つあるという。
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