ドコモは11月26日、携帯電話の使い切れなかった無料通信分を家族内で共有できるサービスを「ファミリー割引」に追加すると発表した。現在提供中の「2ケ月くりこし」した後、使い切れなかった無料通信分が対象。
開始は2月1日から。12月分の無料通話分のうち2カ月後余ったものが共有対象となるため、「実質的には12月1日から」(ドコモの中村維夫社長)。
FOMA、ムーバとも基本使用料に含まれる無料通信分のほか、FOMAのパケットパック、指定番号割引サービス「ゆうゆうコール」の特典分も対象となる。申し込みなどは必要ない。
今回のファミリー割引強化について、中村氏は「他社と比べても最強のファミリー割引だと自負している」と話す。
そもそも、余った無料通信分の繰り越しサービスはボーダフォン(当時のJ-フォン)が開始したもの。共有サービスはKDDIが提供している。いってみれば、ドコモは両社のサービスを組み合わせて盛り込んだことになる。
キャリア | 繰り越し | 共有 | 割引率 |
---|---|---|---|
ドコモ | 2カ月 | パケット料金可 | 主副ともに25% |
KDDI | − | パケット料金不可 | 主副ともに25% |
ボーダフォン | 1カ月 | − | 副のみ50% |
繰り越しについては、ボーダフォンよりも期間が長いだけではない。ボーダフォンの場合、途中でプラン変更を行うと繰り越し分がリセットされるが、ドコモは繰り越しが可能だ。また、ボーダフォンの場合、「ハッピーパケット」などのパケット割引きサービスの無料通信分は繰り越せないが、ドコモはパケットパックの無料通信も繰り越せる。
共有については、KDDIよりも制限が緩い。KDDIの場合、まずパケット通信分については共有ができない。例えば家族の1人がパケットを使いすぎてしまった場合、ほかの家族の無料通信分が余っていても充当できない。ドコモはどちらにも利用できる。
ちなみに、2カ月くりこしと共有の関係は少々複雑だ。無料通信分の利用順序は、1)本人の繰り越し分 2)本人の当月無料通信分 3)家族の繰り越し分 となっている。つまり、家族の余った無料通信分の利用は、繰り越しも含めて自分の無料通信分をすべて使い切ってからになる。
なおメールの送受信についても各社は割り引きを強化している。ドコモは家族間のメール送受信が無料、KDDIは家族間のCメール送信が無料(受信は当初から無料)(9月24日の記事参照)、ボーダフォンは50%引き。またボーダフォンは冬の3G端末で、ボーダフォン端末同士のメール受信料を無料とする計画だ(11月10日の記事参照)。
強力なファミリー割引だけに収益にも影響が出る。中村氏によると、来期400億〜500億円の減収要因となるという(10月29日の記事参照)。ただし3月という新規契約が増加する時期に合わせ、ファミリー割引強化を打ち出すことで、新入学生、新社会人の需要を掘り起こしたい考えだ。
「400億〜500億円がそのまま減収になるのではなく、必ずや、解約率の低下に役立つ」(中村氏)
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