2年で85万契約、仏iモードの現状フランスのiモード事情(前編)

» 2004年12月01日 14時00分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 NTTドコモのiモードが海外展開を開始して2年以上が経過。ドコモによると今年7月時点で、海外のiモードユーザー数は300万人を突破したという(7月12日の記事参照)。初の欧州市場となったドイツをはじめ(2002年2月の記事参照)、最近ではイスラエルでの提供も決まった欧州で(11月18日の記事参照)、「成功」と受け止められているのがフランスだ(2002年4月の記事参照)

 フランスでiモードを展開しているBouygues Telecomの本社を訪問、iモード部隊を率いるブノワ・ルヴェ氏(マルチメディアモバイル iモード本部長)に、サービスの現状について聞いた。

iモードでポストペイド契約の増加を狙う

 まずBouyguesとフランス市場について触れておこう。フランスには3社のオペレータがあり、ユーザー数の多い順にOrange、SFR、Bouyguesとなる。Bouyguesのシェアは15%前後だ。iモードに匹敵するサービスとしては、France Telecom傘下のOrangeが「Orange World」を、Vivendi Universalを親会社に持ちVodafoneの出資も受けるSFRが「Vodafone Live!」を展開中だ(5月26日の記事参照)

 この秋に登場したSamsungの「S341i」

 Bouyguesがiモードを開始したのは2002年11月、ドコモと提携したのは2002年の4月だった。「7カ月間で体制を整え、サービスにこぎつけた」とルヴェ氏は振り返る。開始時の対応端末はNECと東芝の2機種、公式サイト数は86。当初「市場の反応はどちらかというと冷ややかなものだった」という。そんな中、総勢60名のiモードチームは地道にドコモスタイルを踏襲したサービスを展開した。今では対応端末も三菱電機、Panasonic、Samsung、Sagem製端末が加わり合計11機種に、公式サイトは230以上に増えた。

 気になるユーザー数だが、ちょうど2周年にあたる11月第1週の時点で85万人。昨年の11月(1周年時)が36万人だったことを考えると、ここに来て増加のペースが上向いていることが分かる。

 ルヴェ氏が誇るのは、これらが皆ポストペイド(契約)ユーザーという点だ。フランスは、ほかの欧州各国同様プリペイドを好むユーザーが多いが、Bouyguesはポストペイドのみでiモードを提供。ポストペイドのほうがARPUも定着率も高いことから、Bouyguesはポストペイド比率を増やすことに注力しており、iモードをその牽引役にしたい考えだ。iモードユーザーは現在、同社の全ポストペイド加入者の27%を占める。もちろん、ほぼすべての料金プランにiモードアクセスオプションを入れるなどの対策も背景にある。ユーザー層は、「男性が3分の2を占め、年齢は18歳から40歳」(ルヴェ氏)。日本では当初女子高生がブームを牽引した感があったが、フランスでは事情が異なるようだ。

人気のコンテンツは「日本と似ている」

 フランスのユーザーはiモードをどのように利用しているのか。「コンテンツプロバイダと共同で日仏の比較調査を行ったところ、ユーザーの振る舞いは全く同じだった。私自身も驚きだった」(ルヴェ氏)。フランスユーザーの間でも、着メロや壁紙などの端末のパーソナライズ化アイテムやコミュニケーションツール(電子メール、チャット、日本にはないがSMS)、Javaゲームなどが人気だという。「当初、フランスは日本とは違う(からiモードはヒットしない)といわれていたが、文化の差はないことが分かった」(同)。

 料金プランは、Bouyguesが一般的なiモードユーザーに薦めている「Forfait Integral」(750Kバイト分のデータ通信と通話2時間分をパックにしたもの)が1年間契約の場合、月額35ユーロ。実際のiモードユーザーは月額平均60〜70ユーロを支払っており、これは同社全体のユーザー平均よりも10〜15ユーロ高いという。ちなみに端末の価格は、販売開始直後のNEC製端末「N401i」が100ユーロ前後で店頭に並びそうだ。安いものでは20ユーロを切るものも出てきている。

仏で人気のこんなコンテンツ

 フランスのジャーナリストから人気と聞いたのが、フランス版出会い系サイトともいえそうな「Skychat」。ラジオ局Skyrockが提供する無料コンテンツだ。ラジオ局の提供する情報の閲覧やリクエストができるほか、チャットサービスでは位置認識サービスとの連携で、自分の近くにいる人とランダムにチャットができる。

 Skychatの画面

 位置認識サービスは概して好評で、Skychat以外にもいくつかデモを見せてもらった。有料(月額1ユーロ)サービスのAllocineは、近くの映画館情報を表示するサービスで、「映画が観たい」と思ったとき即座に情報が得られる。日本でいうと「ぴあ」にあたる複合情報サービスがPetit Fute。近くのレストラン情報やイベント情報を表示するものだ(月額1.5ユーロ)。

 Petit Futeでレストランを検索、地図で場所を表示
 メニュー画面(左)。ニュース/天気予報、スポーツなど16カテゴリある。公式サイトは230以上、非公式サイトは3000以上とか。非公式サイトの検索サイトも存在する。アクセス中はフランス版iモードではこんな表示に(右)


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