800MHz帯でないと「ダメ」?〜携帯周波数会合第5回(1/2 ページ)

» 2004年12月15日 00時11分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 総務省は12月14日、「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第5回会合を開催した。争点は、やはり800MHz帯の割当方針。ドコモやKDDIといった800MHz帯を利用する事業者と、新規割当を求めるソフトバンクが火花を散らした。

Photo 会場の様子

 今回、ソフトバンクが用意したのは具体的な帯域の「移行手順案」。孫正義社長は、現在各社が細切れで利用している帯域をどういった手順で再編し、「ドコモ、KDDI、ソフトバンク」の3社に配分するかを事細かに提示した。

 「(帯域再編の)パズルが解けない、という声があったが(11月25日の記事参照)、こういうパズルの解き方がある。具体的な解決案アリ、と言いたい」(孫氏)

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Photo ソフトバンク案(配布資料より抜粋)。青色の部分が「新規事業者」、つまりソフトバンクの取得する帯域

 ソフトバンクにすれば、「具体案はある。どこに問題があるか指摘しなければ『実現不可能』とはいえない」という主張をしたいところ。だが、ドコモとKDDIは、この議論の舞台に上がろうとはしなかった。

 そもそも、孫氏の再編案は「各事業者が800MHz帯とそれ以外の帯域の、デュアルネットワークサービスを採用する」というアイデアに賛同することが大前提になっている(12月6日の記事参照)。しかし、KDDIの小野寺正社長は孫氏のいう「2〜3年もすればユーザーの8、9割はデュアルサービスに移行できる」という主張に異を唱える。

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 「慎重に検討したが、やはり相当数のユーザーが残る。最後にドンと入れ替えざるを得ない」。ドコモの中村維夫社長も、全ユーザーを800MHz/2GHzのデュアルサービスに移行させるのは、なかなか容易でないとの立場を崩さない。

 「(これまで綿密に準備していた)周波数の移行を、途中でやろうとするから無理がくる」(小野寺氏)

 それでも、孫氏は一歩も引き下がらない。ドコモとKDDIに対し、「新規事業者と既存事業者がイコールフッティング(=対等な競争条件)であるべき」という基本的な思想は、共有できるかと問いかけ、「全体的な思想は同じで、方法論の問題ですね? ユーザーを移行できる“方法論”があればいいんですね?」と問い詰めていく。

 なんとか言質をとろうとする孫氏だが、中村氏は「いや、そういうことではなく……」と、どう答えたものか思案する様子。小野寺氏は、「私は慎重に答えたい。(孫氏の考えには)一切同意しない」とにべもなくはねつけた。

本当はみんな、800MHz帯がほしかった

 会合では、800MHz帯を要求するのが現時点でソフトバンクだけであることも話題になった。構成員からは「ほかの事業者は800MHz帯はいらない」ということでいいのか確認をする声が上がった。

 イー・アクセスの種野晴夫COOは、「800MHzと1.7GHzのどちらがいいかと言われれば、800MHzがいい」と答える。

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