海外でもiモードが使える〜W-CDMA/GSMの「N900iG」

» 2004年12月16日 17時14分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 ドコモは海外に持っていって通話やiモードを行えるW-CDMA/GSMのデュアル端末「N900iG」(10月5日の記事参照)を発表した。12月25日から全国で販売を開始、価格は4万円前後になる見込み。

 初年度の目標販売台数は明かされなかったが、ドコモ国際推進部の樋渡義晴担当部長は「海外旅行者の数は年間で約1600万人で、うち15%ほどがビジネスユーザー。ファーストターゲットはこの部分」だと説明した。

 ドコモは海外渡航者向けのローミングサービスとして、FOMAユーザー向けにチップローミングの「WORLD WING」(2003年5月の記事参照)を、ムーバユーザー向けに「WORLD WALKER」を提供している。対応端末としてMotorola製の「V66」を用意していたが、準備が整い次第N900iGの貸し出しを開始、ほかにもテレビ電話とSMSのローミング対応機としてMotorolaの「A835」をラインアップする(8月23日の記事参照)

 日本ではFOMA、海外では900/1800/1900MHzのGSMとW-CDMAのデュアル端末として使えるN900iG。ボディカラーは、ビジネスマンが使うことを意識したオーシャンブルー。キャラ電やデコメールなど、N900iSと同等の機能を使える


 ドコモのFOMA向け国際ローミングサービス「WORLD WING」は、この11月に329万2200契約を達成。さらなる増加が予想されることから、海外でも使える端末を投入する

 当初、115の国での音声通話とSMSの送受信、26カ国でのパケットローミング、英国および香港と日本との間のテレビ電話に対応。対応する国は順次拡大する予定だという。

 テレビ電話の利用料金は、香港から日本にかける場合が1分あたり380円、イギリスからは1分当たり480円(WORLD WINGユーザーの場合)と、日本国内で利用するのに比べると割高だ。

  • N900iGの対応サービス一覧
サービス GSM GPRS W-CDMA
パケット(iモード) ×
テレビ電話 × ×
SMS
音声通話

 Eメールやiモードサイト閲覧時のパケットローミング料金は、利用する国によって異なる。ローミング先は、アメリカ、イギリス(3G)、フランス、ドイツ、香港など19の国や地域をふくむ「グループA」と、イギリス、イタリア、ギリシャ、オーストラリアなど8の国や地域を含む「グループB」に分けられ、異なる料金が設定されている。グループAは、最低料金が50パケットまで50円、グループBが100パケットまで100円。以降は従量課金となり、いずれも1パケットあたり0.2円の料金がかかる。

  • パケットローミングの接続先となる通信事業者
グループACingularアメリカ・ハワイ・バミューダ諸島・プエルトリコ・米領バージン諸島
Orange Switzerlandスイス
Telefonica Mobilesスペイン・カナリア諸島
Hutchison 3G UKイギリス
Orange Franceフランス・モナコ
T-mobileドイツ
KPNオランダ
Hutchison 3G HK/Hutchison香港
Chunghwa台湾
SingTel Mobileシンガポール
AISタイ
Smartフィリピン
Hutchison Macauマカオ
グループBT-Mobile UKイギリス
TIMイタリア・サンマリノ・バチカン
Windイタリア・サンマリノ・バチカン
Cosmoteギリシャ
T-Mobile Austriaオーストリア
Turkcellトルコ
Optusオーストラリア

 SMSは、ドコモがローミング協定を結んだ海外事業者のサービスエリア内で、1)日本のFOMAユーザーとの送受信 2)ドコモの国際ローミングを利用中のユーザー同士の送受信 が可能。当初は海外事業者の契約ユーザーとの送受信には対応しないが、順次対応を進めるという。利用料金は送信量が100円、受信料は無料。

 発表会場では、香港と日本間でテレビ電話をかけるデモが行われた。香港の風景が写っているのが分かる

iモードサイトは海外専用のものを用意

 iモードサイトは、海外利用に対応した約2100サイトを用意。利用はパケット料金に準じた従量課金制になる。海外で利用可能なサイトを別に用意したのは、著作権の問題があるからだ。「iモードサイト内にあるキャラクターやモデルなどの素材すべてが、海外で使っていいという契約を結んでいるわけではない。著作権をクリアしたサイトを海外向けに用意している」(説明員)

 海外でiモードサイトを起動すると、利用者が端末を使っている国情報を送信するかどうかのアラートが現れ、国情報を送信すると、その国で利用可能なiモードサイトが表示される仕組み。海外向けサイトは、日本のニュースや株価情報、海外の観光情報や天気予報などのコンテンツが提供される予定だ。

ネットワークの自動切り替えモードを装備

 N900iGは、「N900iS」(6月1日の記事参照)の機能をベースに、W-CDMA/GSMのデュアルネットワークに対応させた端末。消費電流を考慮して、1000mAhの大容量バッテリーを装備した。ただし待ち受け時間は3Gモードで約150時間と心もとない。

 ネットワーク切り替えは、3GとGSM間を自動的に切り替える「自動モード」、3G網に固定する「3G固定モード」、GSM網に固定する「GSM固定モード」の3種類を用意。自動モードに設定すると、ユーザーがどのネットワーク網なのかを意識することなく、使えるネットワークを選んで切り替えてくれる。ネットワークのサーチは、3Gが優先となる。なお、ハンドオーバーについては、音声もパケット通信も「対応していない」(ドコモ)

 メインディスプレイは2.2インチのQVGA液晶、背面には120×90ピクセルの1インチ液晶を搭載。背面液晶は自分撮りにも対応する。アウトカメラは記録画素数123万画素のνMAICOVICON(2月13日の記事参照)を搭載している。「低消費電力でクオリティが高いことからνMAICOVICONを選んだ」(説明員)。OSは独自OSを採用し、Linuxではない。

 海外利用の利便性を高める「ネットワーク切替」や「国際ダイヤリングアシスト機能」を搭載している


 端末を開いたところ。W-CDMAのアンテナはマイクの付近に、GSMアンテナの正確な場所は明かされなかったが「W-CDMAのアンテナとは離れた場所にある」(ドコモ)


 側面にはマクロ切り替えスイッチやminiSDカードスロット、平型イヤホンマイクジャックなどがある


 赤外線は端末の先端部に装備。左下のソフトキーは「MULTI」キーに割り当てられ、長押しするとネットワークの切り替え設定にアクセスできる。カメラは自分撮りにも対応


  • 主なスペック
機種名 N900iG
サイズ(幅×高さ×厚み) 50×103×28ミリ
重さ 132グラム
連続通話時間(W-CDMA) 音声通話:約105分、テレビ電話:約70分
連続通話時間(GSM) 音声通話:約120分
待ち受け時間(W-CDMA) 静止時:約150時間、移動時」約110時間
連続待受時間(GSM) 約110時間
アウトカメラ 有効124万画素νMAICOVICON
インカメラ 有効10万画素CMOS
外部メモリ miniSD(メモリカード非同梱)
メインディスプレイ 2.2インチ6万5536色TFT液晶(QVGA)
サブディスプレイ 1インチ6万5536色TFT液晶(120×90ピクセル)
ボディカラー オーシャンブルー

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