2004年のヒット携帯は? どうなる2005年韓国携帯事情

» 2004年12月27日 17時47分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 Samsung経済研究所の調査──2004年のヒット商品番付によると、MP3やメガピクセルのカメラ機能を搭載した「複合機能携帯電話」が2位にランクインした。この調査を見るまでもなく、マルチメディア機能が目玉となった今年の韓国市場だったが、2005年はどうなるのだろうか。2004年の韓国携帯電話市場を振り返り、2005年を予測する。

2004年はユニーク端末が花盛り

Samsungの500万画素カメラフォン「SCH-S250」。ペンタックスと共同開発したカメラモジュールは、端末の裏側に付いている

 2004年の韓国の携帯端末市場を語る上で欠かせないのが、デジタルカメラやMP3搭載端末だ。デジタルカメラはメガピクセルクラスのカメラモジュールの搭載が本格化し、ついにはSamsungから「携帯電話付きカメラ」ともいうべき、500万画素のカメラフォン「SCH-S250」が登場した(10月21日の記事参照)

 またMP3機能搭載端末は今年初めて登場して大ヒット(12月7日の記事参照)。一気に市場がブレイクした。

 2004年の「携帯電話・オブ・ザ・イヤー」ともいえるべき端末はSamsungの「SCH-V500」だ(3月20日の記事参照)。液晶が横向きになることから付けられた「横本能」のキャッチフレーズでも有名。2004年「グッドデザイン」大統領賞に輝いたSCH-V500は、若者の絶大な支持を得て月5万台以上を売る大ヒットを飛ばした。デザインや機能はもちろん、「横本能」という語呂のいいいキャッチフレーズも受けた結果だろう。

Samsungの「SCH-V500」。CDMA2000 1x EV-DO方式に対応し、携帯電話でも動画を十分に楽しめるデザイン

 韓国の携帯端末は日本以上にユニークだが、今年は特にそんな携帯電話が花盛りだった。MP3フォンとしては「携帯電話つきMP3プレーヤー」ともいうべき、Motorolaの「MS400」のような超小型端末が最近、増加傾向にある。

 しかし一方でSamsungのHDD内蔵端末「SPH-V5400」が発売される(12月15日の記事参照)など高機能化に伴って大型化も進み、二極化傾向にある。

(左)90ミリ×32.4ミリ×23.2ミリという小ささのMotorola「MS400」。デザインまでMP3プレーヤのようだ。(右)世界で初めて1.5GバイトのHDDを搭載した、Samsungの「SPH-V5400」。100万画素のカメラやQVGAの大画面液晶など、最先端技術をふんだんに取り入れた最強端末。サイズは89.5ミリ×54ミリ×30ミリ、178グラムと超ヘビー級だ

 ゲームフォンではキュリテルの「PH-S3500」(11月29日の記事参照)が第8回韓国産業デザイン賞を受賞した。キュリテルからはまた、アナログテレビの受信が可能な「PH-S5000」も出ているほか、Zigbee対応端末が発表された(12月9日の記事参照)。来年にはAnycallから、衛星DMB対応の「SCH-B100」がリリース予定だ(12月20日の記事参照)

(左)テレビチューナー付きのスタンドを装着することで、アナログテレビを見られる、パンテック&キュリテルの「PHS_S5000V」。番組の録画も可能。(右)パンテック&キュリテルの、Zigbee機能を搭載した試験モデル。カメラ撮影と閲覧がしやすいように作られた、ストレートタイプのP1に搭載させたもの
韓国では1996年の発売以来、4年間というロングセールスを記録し、いまだ約10万人のユーザがいるStarTac。今年はそのリバイバルモデルであるStarTac 2004が登場し、多くの人から歓迎と支持を受けた

キャリアではLG Telecomが大躍進

 2004年は、韓国3キャリアの中でも3番手であるLG Tekecom(以下、LGT)が大躍進した年でもあった。

 11月末には、サービス開始以来初めて加入者が600万人を突破。勢いづいた大きな契機は、モバイルバンキングサービス「BankON」を他キャリアに先駆けて開始したことと、MP3端末の韓国市場初投入にある。

 また11月中旬からは、MP3端末に付属した音楽配信サービス「musicON」も開始。既存会員は来年5月末まで、6月末まで新規または機種変更した顧客は、その時点から6カ月間、音楽を無料提供という太っ腹なキャンペーンまで打ち出している。

気になる2005年の動向は?

 2005年早々からは、ナンバーポータビリティ制度が本格実施される。

 2004年には段階的なナンバーポータビリティ制を実施。12月25日現在で、韓国の携帯電話契約者の7.8%に当たる284万人がキャリアを変えたが、そのうちLGTが106万7000名で、最も多い会員を誘致した。2番手のKTFも47万6000人の会員を増加させることができた。逆にSK Telecom(以下、SKT)は、料金的に高いというイメージからか、154万2000人の会員を失う結果となった。

 さらに韓国版「モバイル放送」ともいえる、衛星DMBの実験サービスが2月から、商用化サービスが5月から開始される。これに合わせて1月初めに、Anycall(Samsung)からSKT向けの端末が発売される予定。LGTはすでにサービス名を「TVON」と決定しており、準備が整えられている。LG研究所が予想した、2005年の流行番付予想では「DMB」がランクインしているが、実際はどうなのか。結果が注目される。

 また、次々と導入が予定される新しい通信方式にも注目が集まるだろう。SKTやKTFが3G(W-CDMA)の商用サービスを本格展開する予定で、設備投資に計9000億ウォンを投じる。これに伴いSamsungがSKTに、LGがKTFに向けた端末を、それぞれ開発中だ。2.3GHz帯を使用したIEEE 802.16(WiMAX)規格の1つ「WiBro」を用いたモバイルインターネットサービス(11月17日の記事参照)にも大きな進展がありそうだ。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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