作品名 | マイ・ボディガード(Man on Fire) |
監督 | トニー・スコット |
制作年・製作国 | 2004年アメリカ作品 |
誘拐事件が多発するメキシコ・シティにやって来たひとりの男。ジョン・クリーシーは米軍で16年間、特殊任務という名の暗殺を重ねるうちに、身も心も傷つき、生きる意味さえ忘れていました。退役後は罪の意識を紛らわすため、酒に溺れる日々。昔の仲間、レイバーンの薦めでボディガードの仕事に就いても、心の傷は癒せないまま。
クリーシーが警備にあたることになったのは、実業家ラモスの一人娘ピタ。ボディガードなしでは、学校に行くことさえ許されなかったピタにとって、クリーシーは頼もしい存在。心を閉ざしたままのクリーシーにも、無邪気に話しかけますが、クリーシーは無愛想な態度を続けます。
悪夢のような過去からいまだ逃れられず、ボディガードの仕事もレイバーンの顔を潰さない程度にこなすクリーシー。しかしピタは、クリーシーの心の奥にある優しさを見抜いていました。お気に入りのくまのぬいぐるみに、“クリーシー”と名付け、手帳に「なかよくなれるように」と書き綴り、クリーシーが心を開いてくれる時を待っていたのです。
二人で過ごす時間が長くなるにつれ、かたくなだったクリーシーの心も少しずつとけていきました。仕事が忙しく家を留守にしがちなピタの両親に代わって、クリーシーは勉強や水泳を教えるようにまでなったのです。素直で勤勉なピタに、すっかりクリーシーは魅せられたのでした。そして、何でも吸収していくピタの姿に、忘れていた“生きる喜び”まで取り戻せたのです。
しかしクリーシーとピタの幸せな日々を、一瞬で打ち砕く事件が起きてしまいます。ピアノ教室へ出迎えにいったクリーシーの目の前で、ピタが誘拐されてしまったのです。ピタを守ろうと必死に抵抗するクリーシー。しかし、誘拐犯は大人数、素早い連携でピタをさらっていきました。犯人グループは、組織的に誘拐を繰り返しているプロ集団。前々からピタを狙っていたのでした。
銃弾を受け、重体になったクリーシーが目覚めると、そこは病院。一刻も早くピタを救い出したいのに、傷が深く動けないクリーシー。やがて犯人側から、ラモス夫妻へ身代金要求の連絡が入ります。
「娘を愛しているか?」
取り乱すラモス夫妻。
「娘が大事なら俺の言う通りにしろ」
犯人はさっさく身代金と受け渡し場所を指示してきました。
「俺はプロだ。お前が約束を守れば、俺も守る」
誘拐犯とのやり取り、そして警察の捜査、謎の組織の暗躍。この作品には、数十個の携帯電話が登場します。最も印象的なのは、思いつめたクリーシーが雨に打たれながら携帯電話でレイバーンに話す場面。
「クリーシー? どうした?」
「引き金を引いても反応しない……」
落ち込み、銃口を自分に向けることまでしたクリーシー。
「昔よく言ったよな」
沈んだ声のクリーシーを励ますレイバーン。
「銃弾だけが真実だ」
生きる希望になってくれたピタを救うため、クリーシーはついに立ち上がります。銃弾を誘拐犯に向け、熱い想いに突き動かされ、一人立ち向かって行くのです。クリーシーは巨大な犯罪組織から、ピタを救うことができるのでしょうか。
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