既報のとおり、ドコモは2月5日からPDCの新機種「N506iS」を全国一斉に発売する。特徴は、なんといっても液晶ディスプレイを振動させて音を出す「フラットパネルスピーカ」(FPS)を採用した点だ。
この発表に合わせて、ドコモは1月30日に報道陣向け説明会を開催した。同技術のメリットを聞いてみよう。
フラットパネルスピーカは、デスクトップPC用としては既に実用化されている技術「SoundVu」を小型化したもの(2003年7月3日の記事参照)。ディスプレイに取り付けられた振動素子(エキサイター)を利用して、液晶面全体を振動させる。「携帯に採用したのは、世界で初めて」(ドコモ)という。
端末を見ると、確かに“スピーカー穴”がない。実際に試してみると、通話時に液晶のどの部分をあてても声を聞き取れた。どうも相手の声が聞こえにくいと思ったら、スピーカー穴を覆い隠すように耳にあてていた……ということは、N506iSでは起きない。
「耳当て位置がフリーで、話しやすいのがポイント。両手がふさがっている時など、肩と耳で端末をはさんでも問題なく話せる」(ドコモ)
通常の携帯でも、空気の“振動”を利用して音を伝えるのは変わらない。しかし、N506iSのフラットパネルスピーカでは、液晶面が直接振動して音を伝える。このため、音量を上げなくても聞き取りやすくなる効果があるという。
「音の聞きやすさを、ボリュームの強弱以外で実現しようとするアプローチ。この振動を極端に増幅すると、『骨伝導携帯』ということになる」(ドコモ説明員)
いわば、プチ骨伝導……といったところのようだ。通話時の音量自体は、通常の端末と同程度になるよう調整されている。ちなみに、ムービーをスピーカー再生する場合などは比較的音量が大きくなるが、このとき液晶を触るとはっきり振動が感じ取れる。
気になるのはコスト面だが、端末の最終的な価格に与える影響はそれほどないという。「(フラットパネルスピーカでコストがかかっても)レシーバーが不要になるため、プラスマイナスゼロ。そのほかの部分も、基本的に変わらない」
この種のフラットパネルスピーカでは、「スピーカーの穴が不要になるため、水濡れに強くなる」というメリットも言われている。ただし、「水がかかっても壊れにくいということは、多少あるかもしれないが……ドコモとして、そうアナウンスするわけにはいかない」とのことだった。
N506iSでは、実は従来のツインスピーカーも搭載している。通話、ムービーなどはフラットパネルディスプレイで音を出すが、着信メロディなどはツインスピーカーで再生する。
背景には、フラットパネルディスプレイが解決すべき“課題”があるようだ。ドコモの説明員は「iモード使用時などに突然液晶面から着信音が鳴り響くと、うるさくなりすぎるおそれがある。また、3D音源などの技術を考えた場合、フラットパネルディスプレイではモノラルになってしまう」と説明した。
折りたたみ時に液晶部を上にした状態でも、カメラメニューの各種操作が可能になったのは嬉しいところ。本体側面のキーで設定変更を行える |
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