全面開放で不法勧誘も〜韓国の番号ポータビリティ韓国携帯事情(1/2 ページ)

» 2005年02月01日 14時09分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 日本では2006年夏ごろに開始予定の番号ポータビリティ(MNP)だが(3月30日の記事参照)、韓国では2004年から実施されている。

 1月にSK Telecom(以下、SKT)、7月にはKTFから、他キャリアへの移動が段階的に可能となり、今年はそれにLG Telecom(以下、LGT)も加わることで、全面開放となった。そのため各キャリアで熾烈な顧客の呼び込み合戦が繰り広げられている。実施から約1カ月が経った番号ポータビリティの状況を見てみた。

識別番号がキャリアのイメージと直結

 011・017=SKT、016・018=KTF、019=LGT……。先頭に付く識別番号で携帯キャリアが判断できる韓国は、番号とキャリアのイメージとが直結している。

 特に「スピード011」のキャッチコピーが有名なSKTは、高級感があり、どこでもつながりやすく、通話品質も良いというブランドイメージ作りに成功している。SKTが携帯電話加入者の5割以上を占めるのは、このブランド力によるとところも大きい。韓国の番号ポータビリティの最大の狙いは、そうした番号とキャリアの関係を断ち切り、サービス内容による競争を促すことで市場を活性化させることにある。

 もちろん、これまでの番号でそのまま別のキャリアに移動することもできるが、識別番号を3キャリアで「010」に統合する「010番号統合制度」も同時に実施された。これは新規加入の際に適用されるもので、010のユーザー間では010を省略しても通話できるようになっている。

 ちなみに番号ポータビリティでキャリアを移った場合の手数料は1000ウォン(約100円)。ほかに各キャリアの加入費、そして新しい端末の購入費なども含めると、少なく見積もっても20万〜30万ウォン(2万〜3万円)はかかることとなる。

広告合戦、人員戦略、補助金支給まで……激化した顧客呼び込み合戦

 番号ポータビリティが開始されれば011の縛りがなくなる……ということで、3キャリアは2004年早々から激しい顧客の誘致合戦を開始した。キャリアの攻防が最も分かりやすい形で現れていたのは、やはり広告だった。マスメディア、地下鉄、各キャリアのショップで、大々的な広告合戦が繰り広げられ、競争の激しさを肌で感じられた。

 広告だけで実行が伴わなければ、ほかとの差別化は難しい。そこで複数で加入すると料金が割引となる「家族割引」(LGT)や、長く契約すればするほど料金がお得となる「長期契約割引」など、各社は多彩な料金プランを用意し、それに付随する会員カードも提携店舗を増やすなど、サービス面も強化。ホームシアターや海外旅行プレゼントキャンペーンを実施するなど、プレゼント攻勢も行われた。

 一方、防戦を強いられることが予想されたSKTは、2003年11月に「スピード011」にかけた「スピード010」というキャッチコピーを打ち出した。これに対しKTFとLGTが特許審判院へ商標権の無効化を申請。商標権無効の決定が下されたものの、SKT側はその後も「スピード010」のブランドで押し通し続けた。

 結果、ブランド価値評価専門機関のブランドストック社による「2004 総合100大ブランド」において、3位にランクインすることとなった(ちなみに1位はSamsungの携帯電話ブランド「Anycall」)。

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