銀のエンゼル「ダメ〜? 頼むよ〜」Mobile&Movie 第148回

» 2005年02月04日 17時11分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名銀のエンゼル
監督鈴井貴之
制作年・製作国2004年日本作品


 今回ご紹介する作品は、北海道のコンビニエンスストアを舞台にした「銀のエンゼル」。凍てつく真冬の北海道で繰り広げられるハートウォーミングなストーリー。北海道発のテレビ番組として人気を博した「水曜どうでしょう」のメンバーが集結し、なまら楽しい映画を作ってくれました。

 主人公は、数年前に農家から、コンビニエンスストアのオーナーに転身した北島昇一。店番は妻とアルバイトにまかせて、昇一はのんきな日々を過ごしていました。

 国道沿いのコンビニには個性的な客が数多く集ります。恋人との待ち合わせにコンビニを使う女性客、バナナを温める男性客、駐車場でダンスのレッスンをする高校生。風変わりなコンビニの客のひとり、明美はチョコボールを毎晩ひとつだけ買っていきます。明美は、銀のエンゼルを集めていて、五個揃ったら何かいいことがある気がする、と言うのです。店員にどのチョコボールがよさそうか無邪気にたずねる明美。そんな明美に、「自分が選んだものにしたほうがいい」とクールに言い放つ佐藤は、どこか影のある深夜勤務の店員。

 ほかにもユニークなキャラクター、トラック運転手のロッキーがいます。ロッキーは、昇一の娘・由希に恋していて、配送が終わるとコンビニ2階の由希の部屋をチェック。北風が吹き荒ぶ中、トラックの屋根によじ登り、由希の姿を一目見ようとします。

 「そんなとこで何やってんの?」

 ロッキーに気付いて、怪訝な顔の由希。

 「メール届いたでしょ?」

 「速攻、削除した」

 ロッキーの携帯メールのアプローチも由希には届いていないよう。由希は受験生で、進路について迷い中……。ロッキーの相手をしている暇ではないのです。東京の大学進学を希望しているのですが、父親の昇一には話していない由希。店を母に任せきりにして、気楽に過ごしている父に嫌悪感を抱いていたのです。

 そんな昇一の穏やかな日常が、妻の交通事故によって、突然崩れていきます。全治3週間と診断され、妻が入院することになり、昇一は動揺します。妻の代わりに店に立つなんて、これまで考えてもいなかったこと。慌てて、店に出てくれるアルバイトを探そうと、携帯電話で連絡します。

 「時給30円上げるから」

 何とか自分が店に出なくてすむように必死で口説く昇一。

「ダメ〜? 頼むよ〜?」

 片っ端から電話しますが、シフトより多く入ってくれるアルバイトは見つからず……。

 「病院で携帯電話は禁止ですよ!」

 と看護士に叱られてしまいます。しかし、昇一に降りかかる試練はこれだけではすまなかったのです。

 娘の由希と2人きりで生活することになったものの、由希はコンビニの手伝いもせず、あからさまに昇一を避けるのです。慣れないコンビニの店番にオロオロ、そして思春期の由希の言動にオロオロ、頼りない昇一……。

 そんな時、由希が東京の大学への進学を希望していることを、人づてに知ってしまい、昇一はさらにショック。頭ごなしに東京行きを反対してしまいます。昇一の態度に由希は猛反発。なんと、家出してしまったのです。

 コンビニを閉めるわけにいかない昇一は、由希の後を追うこともできず、じっと携帯電話を見つめるだけ。電話をかけて、話す言葉も見つからないのです。昇一はどうやって、このピンチを切り抜けるのでしょうか。昇一と由希は、父娘の絆を取り戻すことができるのでしょうか。

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