提供するコンテンツは、リアルタイムのテレビ放送と、国内でKDDIが行っている「EZチャンネル」のような蓄積型の「クリップキャスト」に大きく分かれる。それぞれに使う容量をダイナミックに変更できるのが1つの利点だ。
チャネル数 | 内容 | 利用帯域 |
---|---|---|
15ch | ビデオ(リアルタイム) | 平均350kbps |
10ch | AACオーディオ(リアルタイム) | 平均48kbps |
40ch | クリップキャスティング(蓄積型) | 800分/日相当 |
国内ではまさに1セグ放送が始まろうとしている時期だが、松本氏は「1セグ放送だけでは不十分」だとMediaFLOの国内導入に意欲を見せる。
「ユーザーは(1セグの)6チャンネル、7チャンネルで満足するのか」というチャンネル数の問題が1つ。そして「1セグでは、通信キャリアにメリットがない」ことが2つ目の理由だ。
よりモバイル機器に特化し、通信キャリアのビジネスも念頭に置いたサービスを提供することで、1セグよりも普及は早いと説く。
「1セグ端末もある程度は出る。でもドミナント(支配的)にはならない」(松本氏)
「1セグと競争するつもりはない。日本での具体的な提案は未定だが、個人的には(MediaFLOの)15chのうち、7chは1セグのサイマル放送にすべきだと思っている。残りの8chが有料の、スポーツや子供向け放送になるだろう」(同氏)
EV-DOマルチキャストはどうなる? |
Qualcommが動画などを一斉同報できる通信方式として開発を進めてきた技術の1つに、EV-DOマルチキャストがある(2004年2月13日の記事参照)。既にEV-DO Rev.Aの仕様に盛り込まれ、KDDIも技術的には利用可能な状態になりつつある(1月6日の記事参照)。 マルチキャストとMediaFLOの違いは何か。 基本的には通信方式としてEV-DOを使うマルチキャストに比べると、放送用途に特化したMediaFLOは「OFDMを使うため、放送的には効率がいい」(松本氏)。 EV-DOマルチキャストには「MediaFLOのクリップキャストに極めて似ている」プラチナマルチキャストという技術もロードマップ上にある。OFDM変調を使った技術だが、こちらはまだ規格化されていない。 いずれにせよ、「クアルコムとして、こちらをやりたい、あちらをやりたいというのはない」(松本氏)というスタンス。「MediaFLOをスタートするのと、先行してマルチキャストが始まることとは矛盾しない。かえってノウハウが獲得できる」(松本氏) |
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