スパイ・バウンド「家に戻るまでに寝かしつけておいて」Mobile&Movie 第150回

» 2005年02月18日 12時21分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名スパイ・バウンド(AGENTS SECRETS)
監督フレデリック・シェンデルフェール
制作年・製作国2004年フランス作品


 1985年に実際に起こった「虹の戦士号」爆破事件を基にして製作された「スパイ・バウンド」。「虹の戦士号」とは、フランスの核実験に反対するグリーンピースの船舶で、フランス国家がデモ活動を封じるために沈没させたと言われています。本作品では、この事件に関わったフランス諜報機関の女スパイを通して、事件の真相を描いています。

 リザは、フランス対外治安総局の優秀な諜報員。スパイとは思えないほどの美貌で様々な場所に潜入し、任務を遂行して来ました。今回の指令は、武器密輸船「アニタ・ハンス号」の爆破。リザは「アニタ・ハンス号」の航路を探るため、武器商人リポヴスキーに接近します。リポヴスキーは妻子と共に、スイスに住んでおり、リザは子供たちのベビーシッターとしてリポヴスキー家に潜入することに成功します。

 「家に帰るまでに寝かしつけておいて」

 リポヴスキー夫妻が揃って外出した夜、リザにとって絶好のチャンスが訪れます。子供を睡眠薬で逸早く眠らせ、リポヴスキーの部屋に潜り込むリザ。重要機密情報を盗み出すのに、リザは携帯電話を使います。リポヴスキーのパソコンを起動し、「アニタ・ハンス号」の航路データを探します。そして身に付けていた小さなバッグから携帯電話を取り出し、外付けのカメラをセットして、映像をその場で携帯電話から本部へ送信します。さらにPCから呼び出したデータを1枚の小さなチップに保存し、バッグの中に入れて、部屋を後にします。

 こうしてリザが慎重に手際よく集めた情報によって、「アニタ・ハンス号」がモロッコに停泊する日程を把握することができました。治安総局は、この航海予定を基に「アニタ・ハンス号」爆破計画を立案、リザも同僚のジョルジュと共にモロッコ行きを命じられます。

 夫婦を装い、偽造のパスポートでモロッコに入国したリザとジョルジュ。そこでリザはジョルジュに、今回の任務を最後にスパイを辞めるつもりだと打ち明けます。家族に職業を秘密にし、心からの友人も作れない、孤独な日々に耐えられなくなっていたのです。普通の生活を送りたいというリザの願いにジョルジュは驚きましたが、爆破予定日は迫っており、リザの最後の仕事を成功させようと結束を固めます。

 しかし突然、アメリカ領事館員と名乗る男が「アニタ・ハンス号から手を引け」とリザ達に警告を与えます。なぜ作戦がアメリカに漏れてしまったのか、ジョルジュは上司のグラセ大佐に尋ねますが、計画は続行とだけ告げられます。本部に退職の意思を伝えたところで、計画の妨害に遭い、一抹の不安を覚えるリザ。やがて、その不安は現実になり、リザは本部に裏切られることに。

 巨大な組織に立ち向かうことになるリザ。「アニタ・ハンス号」爆破は成功するのでしょうか? そして、リザはスパイを辞めて、普通の生活を取り戻すことができるのでしょうか?

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