携帯は、ますます音楽プレイヤーとしての機能を高めている。ただ、せっかく音楽プレイヤーとして携帯を活用するなら、もう1つ注意したい点がある。――「上等なイヤホンを使うべし」というのがそれだ。
知ってのとおり、音質というのは案外最後の「イヤホン」の部分で決まる。イヤホンなんて100円ショップでも売っているものだが、それでは携帯の真の音質は分からないというわけだ。
どうせなら、着うたフル対応のau端末で、しかもFMラジオに対応した“音楽ケータイ”に「高級ヘッドホン」を組み合わせたいもの。しかし既存の端末では1つ問題があった。“イヤホンがアンテナの役割を持っている”という点だ。
例えば「W22SA」は、着うたフル対応のラジオ内蔵端末だが、ラジオを聴くには専用イヤホンが必要。スピーカーモードでラジオの音声を出力できるが、その場合もイヤホンは挿しておかなければならない(2004年10月13日の記事参照)。
「A1404S」はもう少し自由度が高く、スイッチ付きステレオイヤホンマイクにより、好みのイヤホンを接続可能。卓上ホルダに端末を固定すれば、スピーカー再生することもできる(1月20日の記事参照)。ただ残念なことに、A1404SはWIN端末でないから着うたフルに対応していない。
「W31K」は、着うたフルに対応してFMラジオ搭載なのだが、やはりイヤホンを挿していないとラジオを受信できない(3月3日の記事参照)。「イヤホンは着うたフル用」と割り切るのもいいが、どうせなら1つのイヤホンですべての局面に対応させたいものだ。
そんな中、1つの面白い端末が登場した。3月に発売された「W31SA」だ。知ってのとおり、着うたフル対応+SD-Audio対応の“音楽ケータイ”。音楽CDからminiSDカードに取り込んだ、AACフォーマットの音楽を再生できる。そして、W31SAはイヤホンを付けなくともラジオが聴ける(2月22日の記事参照)。
この端末に良質のヘッドホンを接続すれば、真の音楽ケータイになるのではないか──。そう考えた記者は、いくつか製品を探してみた。
接続は簡単。通常、携帯には平型コネクタしか挿さらないようになっているが、このコネクタは市場価格で数百円レベルで購入できる。そもそも、W31SAには初めから平型変換コネクタが同梱されている。
DJ向けの高級ヘッドホン「ATH-PRO700」などでも、ジャックの取り外しで2種類の接続が可能。このためステレオミニプラグのほうに、前述の平型コネクタを接続すれば携帯で利用できるわけだ。
実際に「ATH-EM9D」をW31SAに接続して聴いてみると、確かに音質がいい。着うたフルが“上品な感じ”になっているのだ。楽器の音も、それらしく聞こえている。
うれしさのあまり、日頃iPodを利用している音楽好きの社員をつかまえて「聞き比べ」をしてもらう。感想は「静かな部分は、なかなかの空間性がある」とのこと。
「特に『ATH-PRO700』と携帯を組み合わせた場合に、ボーカルがかなりよく再現できている。アコースティックギターの響きも自然で、アンプラグド系にはいいかも」
ただし、同じヘッドホンでiTunesのAAC、128Kbpsのファイルを聞くと「ピアノがちゃんと高そうなピアノの音に聞こえる。携帯版は、ピアノがやや安っぽい印象」とのこと。このあたりは、さすがにAACファイルのほうがビットレートが高いのだから仕方ないといえば仕方ないだろうか。
とはいえ、最終的にその社員も「着うたフルも、こうしてみると結構聴ける」と認めてくれた。携帯の音楽再生機能が進化する中、音にこだわるユーザーを自認するなら、一度「W31SA+高級イヤホン」の組み合わせを試してみてはいかがだろうか。
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