グラフから明らかなのは、CD売上とダウンロード数には明確な正の相関があること。ただし、「ダウンロード数が多いから売上が伸びた」のか「売上が伸びたからダウンロード数が伸びた」のか、その因果関係までは分からない。
そこで、プロットされた各点について「ダウンロード数がCD売上にどう影響をおよぼすか」の直線(式)と、「CD売上がどうダウンロード数に影響するか」の直線(式)が存在すると考える。2つの直線の交点として、図の各点が存在するという理屈だ。
気になるのは、やはり前者。この直線(式)が右下がりになる(係数が負の値になる)なら、ダウンロード数が増えるほどCD売上が減ることになり、「P2Pが音楽業界に被害を与えている」ことになる。
それでは、実際はどうだったか。結論から先にいえば、ダウンロード数がCD売上にどう影響数するかを示す直線(式)の傾きは右上がりになった。ダウンロードが増えるほど、CD売上が減るどころか、むしろ若干増えることになる。少なくとも、WinnyがCD売上に悪影響をおよぼしていないことになる。
ここまでが研究の結果。田中氏はここから「なぜ、このような結果が出たのか」という考察を行う。
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